ロックミュージカルはらじゅくグラフィティーの稽古がスタートした。出演者には個性的な人間が沢山いた。その中でも主役のチャリー、トニー(徳永英明)は光っていた。特に徳ちゃんは「レイニーブルー」という曲でデビューが決まっていた。思えば稽古の帰りに食事をしながらウォークマンで初めてレイニーブルーという曲を聴かせてもらった。現在、カラオケでこんなに沢山の人が歌うなんて夢にもおもわなかった。「この曲デビューするんだ」と笑顔で語ってくれた。徳ちゃんは当時、六本木の喫茶店で働いていた。レジを打ちながら業界のプロデューサーが来ると自分のデモテープを「聞いて下さい」と渡していた。その努力が実って新宿ルイードのライブに、あるプロデューサーが見に来ることになった。ライブの当日、ライブが始まり歌が始まり後一曲というところで、プロデューサーが席を立ち帰ろうと階段を降りようとした時に、聞こえてきたのがレイニーブルーだった。プロデューサーは帰るのをやめて席に戻って…レイニーブルーを聞きながら、彼のデビューを決めた…そんな運命の曲がレイニーブルーです。稽古は緊張感の中にも楽しい雰囲気で進んで行った。つづく…

