今回語っていくのは私の推し馬『無双の閃光』こと世界最強馬イクイノックスでございます。
この馬は皐月賞が始まる前から注目しておりまして、その理由がまずキタサンブラックの初年度産駒と言うところと、母父に『最強世代』こと98年クラシック世代のキングヘイローがいるところだ。
キングヘイローと言えば芝なら1200mから天皇賞(春)の3200mまで走れるすごい馬で、そのプライドの高さから中々鞍上と折り合えなかった馬でもあります。しかしそんなキングヘイローは主戦騎手だった現福永祐一調教師が新人の頃に乗った馬で、ダービーで福永先生がパニックになったとき以外は善戦していて、2000年高松宮記念では別の馬に乗っていた福永先生が一番いて欲しくなかった馬と言わしめるほど自身の手で勝たせてやれなかったことを悔やんだ馬でもあります。
閑話休題
そんなイクイノックスですが、クラシックは枠順が不利だったこともあり皐月賞及びダービーで共に2着と惜敗していましたが、これはイクイノックスが虚弱体質でまだ仕上がっていなかったことも原因があった。
そして22年秋、伝説が始まる────────
この時の天皇賞(秋)と言えば逃げ馬だらけの超絶ハイペースとなった伝説の天皇賞(秋)となりました。
序盤からハナをきって大逃げする『令和のツインターボ』ことロードカナロア産駒世界のパンサラッサ。
何と1000m通過タイムが57.4秒!
これは奇しくも今から25年前に『沈黙の日曜日』と呼ばれるようになったサイレンススズカが故障した時に叩き出したタイムである。
場内に戦慄が走る中、東京競馬場の大欅の向こう側から猛然と逃げ続けるパンサラッサ。
この時競馬ファンは24年の時を経てサイレンススズカの夢の続きを見れたことだろう。
しかしそんな大逃げパンサラッサを後方からものすごい豪脚で迫る1頭の馬が!
そしてゴール板直前でパンサラッサを捉え、見事GⅠ初勝利したのがイクイノックスである。
その末脚は上がり3F(ゴールまでの600m)が32.7という出走した馬の中でも上がり最速タイムだった。
私はその末脚にキングヘイローを見た──────
そして年の瀬の有馬記念、何と持ったまんまで直線抜け出して古馬相手でも歯牙にもかけず圧勝!
しかしこれは伝説の序章に過ぎない───
その後23年に入り、初戦はドバイで、初の海外レースなのだが、何とこの馬の能力が高すぎて結果的に逃げる形になりそのままレコードで勝利。まるで鞭など要らぬとでも言える強さで最早公開調教であった。
これでGⅠ3連勝。
そして帰国後は宝塚記念に選ばれ出走。
道中半ば強制的に後方に塞がれ追込競馬になったが、この馬には関係なく宝塚記念も勝利GⅠ4連勝。
そして秋────
23年天皇賞(秋)では信じられないことが起こった。
天覧競馬となったこのレースはハナを進む『金色の逃げ馬』ジャックドールのペースでこの年も1000m通過タイムが57秒7と超ハイペースだったのだが、イクイノックスは先行策を取りこの時3番手で追走。そして直線早めに抜け出して2着のジャスティンパレスに2馬身半突き放してゴールイン。
そして驚くべきはそのタイム。
1分55秒2!!
2011年にトーセンジョーダンが叩き出したレコード1分56秒1を約1秒縮める正にアンタッチャブルレコードである。
しかもこのタイム、日本どころが世界の芝2000mのワールドレコードである。いや、どんだけだよ・・・
しかも2着ジャスティンパレス、3着プログノーシス、4着ダノンベルーガまでが1分55秒台と1着~4着までがレコードで走り抜けるという大珍事である。
そして次走ジャパンカップでイクイノックスは引退になるのだが、この時のジャパンカップはこの年の三冠牝馬リバティアイランドが出走。そして結果的にこのレースで引退となったパンサラッサが出走した。
パンサラッサは20年クラシック世代でコントレイルと同期であるため、そろそろ競走馬としては引退を考える時期ではあった。そして『令和のツインターボ』はその異名に恥じない逆噴射を見せて沈み、イクイノックスはリバティアイランドを置き去りにして1着でゴールイン。
そして少し時をおいて引退となった。
前年の天皇賞(秋)から翌年のジャパンカップまでGⅠ6連勝。もしイクイノックスの体がもう少し頑丈ならば有馬記念も連覇して史上3頭目の秋古馬三冠馬となり、父キタサンブラックと同じ七冠馬となれただろう・・・
生涯戦績10戦8勝2着2回と生涯完全連帯を達成。
今後は父キタサンブラックの向かいの馬房で種牡馬となり、来年九冠馬アーモンドアイとの交配が発表されている。
獲得賞金は17億5655万円
堂々の歴代1位である。
ちなみにイクイノックスはものすごく寂しがり屋で、そばに誰かしら居ないと落ち着かないとのこと。
ちなみにだが、イクイノックスの脚質は不明である。
結果的に逃げたドバイシーマ、大逃げパンサラッサを捉えた差しの22年天皇賞(秋)、追込競馬にせざるを得なかった23年宝塚記念、持ち前のスタミナで好位抜け出しの先行策を取ったジャパンカップ。逃げれます、先行できます、差せます、追込できますとその天才ぶりを目の当たりにした。
だが、この馬の本質はおそらく祖父譲りの差し競馬だろうと私は思う。
ちなみにそのスピードはおそらく父キタサンブラックの母父であるサクラバクシンオー譲りだろう。
ホントに何なんだよサクラバクシンオー・・・