トム・プロジェクト『モンテンルパ』

 

 

観劇した会員の感想を紹介します。

ネタバレを含む場合がありますので、これからこの作品をご覧になる方はご注意ください。

 

 

ローズマリーサークル Nさん

私はこのお芝居を学習会でお話をお聞きするまでは内容的なことは何も知りませんでした。戦争が終わっても7年の間、戦犯として収容され生きる希望を胸に毎日を過ごしてきた人々のお話でした。一人の歌手が歌った曲が大統領の心を動かし、負の連鎖を断ち歴史が動く。

この内容を脚本・演出により、最初の出だし(一人の歌手が静かに小声で歌い登場するシーン)思わず「何々・・・」と引き込まれてしまいました。見事な演出でした。その後も身体が舞台に引き込まれるぐらい、演じる側に居る様な、アッという間の2時間でした。戦争を題材にしてこのお芝居が私達に訴えたいものは何なのか! 一つの歌が歴史を変えるという美談ではなく、戦争の残虐性、国の罪を個人に着せる非情さ(現在も他国で戦争をしています)考えるキッカケになりました。戦争からは何もよい事は生まれません。戦争はしてはいけないのです。後世に訴え続けましょう! この芝居の一番の印象は、歌穂さんの歌声も素晴らしいものでしたが、やはりキリノ大統領のセリフでしたね。彼は自分の家族を日本兵に殺されているのに、なぜ日本兵を救わなければならないのか、その思いが演じているのに心に突き刺さり、涙が出てしまいました。今回も良い芝居に出会えて幸せでした。

 

藤の会サークル Kさん

最前列で鑑賞することができた。俳優一人ひとりの息づかいや熱気が伝わってくるようだった。また芝居が進むにつれ、自分自身が登場人物の一人になったような錯覚に陥るほど引き込まれていった。                         

特に印象に残った場面は二つ。一つ目は、はま子の「あゝモンテンルパの夜は更けて」の歌唱。華があるのはもちろんのこと、表現力が素晴らしく、一瞬にして聴き入ってしまった(正直、数曲歌ってほしかった)。二つ目は加賀尾とキリノ大統領とのやりとり。(戦争の加害者と被害者の立場と言えるのか解らないが)互いの複雑な思いや感情が交錯、激しさの中に静けさ、苦しさ・つらさの中に温かさなど、何とも言えない見応えがあった。

カーテンコールでの俳優それぞれの言葉では、作品への大事にしている思いが溢れていて心に響いた。

現在各地で戦争が続いている。大切な命や生活が奪われてよいはずがない。音楽や演劇など、文化芸術の力で平和な世界に変えられないだろうか。はま子の最後のセリフが耳に残る。

 

アルビレオサークル Hさん

モンテンルパ刑務所へのはま子の慰問が、どれだけ大きな驚き、喜びをBC級戦犯にもたらしたのか。明日の我が命も信じられない獄中の彼らにとり、唯一心を支えてくれた加賀尾教誨師が、はま子の歌を聴かせたいと尽力する。はま子が刑務所に来てくれると知った囚人たちの喜びように涙がにじんだ。

彼らがフィリピンで犯した戦争犯罪は、とてつもなくむごくて許されるものではない。第二次大戦の極限状態の中で、日・独・伊・米が行った大量殺戮は現実の過去だ。彼らのモンテンルパでの八年。その帰国の年に私は生まれた。それからの彼らの生き方はいかなるものだったのか。

キリノ大統領の決断はすべての憎しみ、悲しみを超越し実に見事だった。幕が下りた時感動の波が会場に押し寄せてきた。出演の皆さんからのカーテンコールの一言はとても温かかった。

 

エスポワールサークル Kさん

フィリピンのモンテンルパ。なんて全く知らない土地でした。歌はかすかに知っておりますが、その裏にそんな事実があったとは思いもよりませんでした。

はじまりの島田歌穂さんのハミングが、どんなはじまりなのだろうと思っていましたが、しっかり終盤につながって拍手です。

折しも世界ではやったらやり返すような戦争があり、キリノ大統領の言葉の大きさが身にしみます。どうかお互いが幸せになれる道が見つかりますように。

 

紫雲サークル さん

高校生時代から大学まで演劇部だった私にとって、労演(演劇鑑賞会)の舞台鑑賞はとても毎回楽しみにしていることの一つである。サークル代表者の方が車で送り迎えして下さり、車の中はいつも「ミニ座談会」。これも楽しみのひとつである。今回の「モンテンルパ」は一言で「とても良い芝居を見せていただいた」というのが感想です。

「新しい戦前」と言われている今、戦争は被害の側のみならず加害の側にも惨たらしい傷跡を残すことをあらためて思い知らされ、今を生きる私たちが「人の命の尊さ」のために、何ができるかを考えさせられた。

渡辺はま子さんの「あゝモンテンルパの夜は更けて」という歌謡曲は子供のころ「懐かしのメロディ」というテレビの歌番組で聞いて覚えていた。しかし、彼女が戦犯とされた人々の命を救うために奔走したことは、このお芝居で初めて知った。「歌」がキリノ・フィリピン大統領の心を動かしたドラマチックな展開に芝居の醍醐味を感じた。

シンプルな舞台セット。しかし、とても効果的で計算しつくされている舞台だと感じた。ただ、私は加齢のために聴力が衰えているため、女優さんのセリフがよく聞き取れなかったのが残念。次回からは補聴器を買って、労演(演劇鑑賞会)の舞台を観たいと思う。

 

ブルームーンサークル さん

日本人によって家族を殺害されたキリノ大統領は、刑務所に収容されていた戦犯14名を処刑したものの、その後日本人全員を恩赦により釈放した。大統領の心の広さと「憎しみを繰り返しては、世界平和は訪れない」という言葉と信念が心に残った。大和田獏演ずる僧と渡辺はま子の命がけの気持ちと努力に感動を禁じえなかった。

 

【ひとくち感想】

●もっと重苦しい感じかなと思っていましたが、それぞれの役者さんの個々のセリフが心に響きました。その結果ある種の充実感を得ることができました。自分自身がとても豊かになった思いです。休憩なしの通しで鑑賞できたことも良かったです。

●知らないことだったので、勉強になりました。戦争について、もっと知らないといけないと思いました。

●キリノ大統領の生き方に感動。

●とても良かったです。心にささるものが多かったお芝居でもあり、フィリピン戦争もよく知りませんでしたが、知るきっかけになりました。いろいろ考えさせられる内容でした。

●脚本の良さと役者さんそれぞれの熱演によってぐいぐいと引き込まれた舞台でした。この例会にかかわるまでは、モンテンルパでの事実について知らず、キリノ大統領が「憎しみの連鎖」を断つ決断を下した事実に感動しました。戦争の責任とどう向き合うのか、時代への問いかけでもあると強く感じます。

●最後に観た、「モンテンルパ」ですが、「約束の国への長い旅」の杉原千畝さんを思い出しました。

戦争は、破壊しか残しません。この世から、戦争が無くなりますように。

●あゝ モンテンルパの夜更けて 素敵な 島田歌穂さんの歌声がどうか 世界中に広がって平和な世界になりますように そんなことを考えました 絶対に残虐な戦争はこの世からなくなって欲しい そう思うばかりです

●日本軍に家族4人を殺害されたキリノ大統領の、憎しみの連鎖を終わらせた英断がすごい。今の世界情勢をみた時にこういう指導者を待ち望みたい。

憎しみは憎しみをうむしかないから、子々孫々まで。ごめんなさい。

●モンテンルパ。歌は素晴らしかった。右下からの観劇のせいか?一方、命にかかわる内容なのに、平板で劇的な説得力のない舞台だった。

●日本軍に家族4人を殺害されたキリノ大統領の、憎しみの連鎖を終わらせた英断がすごい。今の世界情勢をみた時にこういう指導者を待ち望みたい。憎しみは憎しみをうむしかないから、子々孫々まで。

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