劇団俳優座『雉はじめて鳴く』

 

 

観劇した会員の感想を紹介します。

ネタバレを含む場合がありますので、これからこの作品をご覧になる方はご注意ください。

 

 

アルビレオサークル Tさん

少年期の心。著しい心体の変化。学園生活は私の高校生の時と比べても、似通っているように感じた。親身になって悩みを聞いてくれる教師が私にもいた。この劇と異なるのは私の高校は男子校だった事。成績や進路の事など話せたのは生徒会顧問の男性教師。好きな女子が他校にいることにも理解を示してくれた。先生が私の方を向いてくれるから何でも相談できた。先生に寄せる師弟愛は男女の差こそあれ理解できる。しかし、サッカー部副顧問浦川先生は女性。思慕の情の深さは私のそれとは比較にならない。共学校の難しさはそこにある。私も健の立場に置かれたら、あんなハグをしたに違いない。健と浦川先生の男と女の師弟関係が、あの回り舞台のラストシーンで美しく昇華し、心温まった。

 

彩の会サークル Sさん

事前学習会で説明されたヤングケアラーとかモンスターペアレントは、学園物のテレビドラマでは、クラスの中に1人2人はいるくらいなので、世の中にはたくさんいるんだろうなと思っていました。色々な生徒がいて、色々な親御さんがいて、教職に就かれている方は大変だと思います。お疲れさまです。

私は、今回例会を担当した幹事なのですが、コロナ禍に演劇鑑賞会に入会して幹事になった私は、対面式とインタビューが初体験でした。

インタビューではあんなに優しい感じだった清水直子さんが、あんなモンスターになるとは、迫力がハンパなかったです。迫力と言えば、終盤の修羅場は大変でした。捲し立てるマネージャーの滝佑里さんも頑張ってましたね。因みに私は、若井なおみさん推しですが。

対面式も搬入搬出も全部楽しかった。機会があれば、ぜひ参加してみてはいかがですが?

浦川先生の、落ち着かせるためのハグ、好きだと言われてしまって拒否したハグ、30年後のハグ、複雑ですね。とてもおもしろい舞台でした。ありがとうございました。

 

ドリームガールサークル Sさん

パンフレットの表紙から、お互いに違う方向に向いている。何だろうとちょっと重い感じでいましたが、何とまあ、回り舞台におどろかされ、どんーと迫ってくる。そして健と先生、観ている私としてはグングン引き込まれていきました。教頭先生と校長のやりとりのなか、教頭のおもしろさが観ている私としては心がなごみました。今の社会の昔との違いを思い起こされた気がしました。

 

キャロルサークル Hさん

今回、運営サークルだったので、事前に回り舞台の仕組みを聞く事が出来、男女の若い団員さん2人でやっていると聞いて驚きました。時には、「校長室」また、ある時は「カウンセリング室」と早変わりして、まさに、縁の下の力持ちだと思いました。それから、後ろに立つ、男女が途中まで、健のお父さんとおばあちゃんだと思っていたら、最後は、健自身と浦川先生になっていて、独りぼっちになってしまった健を救ってくれ、避難場所は、かならずあるという形で終わる演出は、素晴らしかったです。

 

点サークル Yさん

学校を題材にした物語はあまり好きではないので、期待はしていなかったが、牢獄のような大道具が現れた時、おやっ?と目が醒めたような気がした。ベタつきのない世界が想像出来たからだ。現実の、「何事があっても容赦なく過ぎていく時間に実はスカッとした救いがある」という事を象徴している様な装置に気持が動いた。その舞台の上で右往左往している人々の、それぞれの正義の中の滑稽さにも暖かい目を向けている作品になっているなあと感じた。回り舞台の効果がすばらしく、この劇をこの様に仕立てた見事さに感動した。学園物の嫌いな私が楽しめたお芝居でした。

 

ローズカクテルサークル Hさん

今回の作品は、高校生のヤングケアラーと、その母親のモンスターペアレントに対応する先生が中心の物語・・・。

新聞を広げれば、日常よく目にする教育問題。社会の歪みが複雑に絡み合った、目には見えづらい根の深い深刻な社会問題だと改めて考えさせられた。劇中、母親のモンスターぶりは大変リアルであり凄い迫力だった。方や、教頭先生のとぼけた演技は重たい空気を一瞬和ませ、笑わせてもらった。回転する舞台も、上手い具合に場面転換していた海を見つめている男と車椅子に乗る女。本当にびっくりぽんだった。まさかまさかの健と担任の浦川先生だったとは・・・。三十年後、二人は再会する。どこか繋がりあっていたのだろう。最後、二人のハグ(抱きしめる)はまるで時空を超え、全てを包み込んでくれるような感動的な瞬間だった。もう一度この舞台を観ることがあれば、違った視点から芝居を楽しめるかもしれないと思った。終演後、元教師の方が『まったく、同じ様な事を経験しました』とおっしゃった事が、印象的だった。

 

ローズカクテルサークル Aさん

お父さんとおばあさんと思っていた人が健と先生だったことに驚きました。30年前に拒否されたハグを先生からしてもらえて良かったです。スクールカウンセラーの藤堂さんの明るさとのりの良さも暗くならずに良かったです。

 

キャロルサークル Mさん

現代社会の様々な問題を表現しながらも人物の心も自然に切りとっている。生きる事の難しさやその人をとりまく人達などよく描かれていたと思います。健くんがはじめて声をあげて心を開く事ができてよかった。俳優さんの熱演すばらしかったです。

 

キャロルサークル Hさん

息子を愛していても、支配するような言動をとる健の母親役の清水直子さんの演技は、とても迫力がありました。逃げたくても逃げられない健でしたが、やがてそのような母(家)から飛び出し失踪、「ケーン、ケーン」と皆が叫びながら探します。戻ってきた健は母の元に帰らず避難場所に行くと決めます。彼の成長を感じながらタイトルを思い出しました。少しホッとしました。

健と浦川先生のハグで始まり、最後も思ってもみない二人のハグで終わりました。「私に避難する?」との言葉は心に残りました。人は少しでも心が安まる避難場所、寄り添える人がいれば幸せだと思いました。

 

彩の会サークル Kさん

それぞれに家庭環境の異なる子供たちの集まる学校では、様々な問題が起こることは確かでしょう。難問に苦しむ教育者の悩みの大きさを強く感じました。でも、こんなに親身になって対応して下さる先生やカウンセラーに恵まれた生徒は、その愛情の大きさに包まれて幸せかと思います。辛さに耐え頑張っている子どもたちに、優しい心遣いと、温かく手をさしのべることができるよう、皆が心がけたいものです。難しい大きな社会問題を重圧感なく投げかけてくれた今回の演劇の力の強さ大きさに、心動かされました。

 

花盗人ークル Kさん

ちと難しかった。清水さんにインタビューして、母親の息子に対する態度がタイトルの雉はじめて鳴く→健がケーン、ケーンと鳴く=行動する(母から逃げる)のための布石だと分かった。

搬入で色々説明してくれたが、回り舞台に興味と感心が高まった。

いせさき演劇鑑賞会では、いつでも会員募集中です。
詳しくはこちらのホームページをご覧ください!