劇団文化座『旅立つ家族』
観劇した会員の感想を紹介します。
ネタバレを含む場合がありますので、これからこの作品をご覧になる方はご注意ください。
リアンサークル Hさん
今回の劇は様々な事象―画家の苦悩、夫婦の愛、貧困、日本帝国主義、戦争、国の分断等―が描かれており、情報量が膨大でした。にもかかわらず一つの劇として収まっていたのは素晴らしいと思います。映像の文字と語りの絶妙さでしょうか?
淡々とした語りであったのに後の方子さんの回想という手法を用いることで裏にある感情が見え隠れして奥行きも感じられました。
話の筋を追うだけでなく象徴の牛が角突き合うようなインパクトの大きな見せ場も有り大変楽しく拝見致しました。
盛りだくさんで見落としたメッセージもあると思っています。2回3回と見る機会があれば、新しい発見があると思わせてくれるような作品でした。
風車サークル Tさん
ウクライナとロシアの戦争が収まらないこの時勢の中、奇しくも長崎原爆投下の日に、第二次世界大戦から朝鮮戦争の渦中に生きた画家とその家族の物語に触れ、改めて、戦争について考えさせられた。
第二次世界大戦は、さほど昔のことではなく、ましてや朝鮮戦争はもっと近いものであるのに、今の日本は何て平和なことであろうか『平和ぼけ』なんて言葉も出るくらいに平和である。そしてそれが『当たり前』であるとさえ、感じる。自分が今、身をおいている状況は、何て幸せなのだろうと、思える公演だった。そして、激動の時代を必死で精一杯生きた不器用な画家がいた、ということを知ることができたことも、良かった。ふとした知識の出会いはどこにあるかわからない。だから、いろんな窓を開け、アンテナを立てておきたい。どんな些細なことでも、知らないより、知っていた方が良い。知っていて損をする知識なんてない、そんなことを考えた公演であった。
ブルーベリーサークル Oさん
事前学習会や藤原さんへのインタビューなどで、作品についてのイメージが膨らみ、期待を持って鑑賞しました。最初と最後に登場する牛の動きは迫力があり見事でした。これが南北朝鮮や日本との関係を象徴していると聞いていたので、最後の場面でそれが重なり、家族と旅立つシーンこそ、ジュンソプの願いなのだと感じました。
戦争や国同士の関係のせいで、夫婦や家族が離れ離れになることに、憤りを感じます。平和の大切さを改めて考えました。
芸術家がどうやって生活していくのか、いつも疑問に思います。生活の為に芸術をあきらめるか、極貧に甘んじて芸術を貫くのか。人間の心を豊かにするための芸術(もちろん演劇も)それを生み出す人たちが豊かに生きられる社会になって欲しいと思います。時代背景や朝鮮半島の歴史など、舞台を見て知ったことも多くありました。
俳優さんたちの歌や演技、舞台装置の転換など、とても素晴らしかったです。
TOMOサークル Tさん
「旅立つ家族」を観てから、いろいろ疑問がわいて、36年の日本の支配下であった歴史、ギクシャクした政治的な問題など、ネットではありますが読みました。中学生の時には、朝鮮出兵というキーワードを丸暗記しただけで、他の国へ出兵するという意味まで、考えませんでしたが、ずっとつながっているんだなと思いました。人々は戦争にほんろうされながら、生きてきたんだとあらためて思いました。
文化座の皆さん、佐々木愛さんもナレーション的でも存在感があり、うまいなあと思いました。小谷佳加さんの主人公イ・ジュンソプのお母さん役の元山を出て行く場面のせりふがすごく良かったです。牛の動きも見事で、この舞台の主題なのかなと思いました。いつの時代にも方子さんのような女性がいて、現代に生きる私たちにメッセージを贈ってくれる気がして、強くならねばと思いました。
エーデルワイス Sさん
開始早々ダイナミックさとエネルギッシュさに圧倒されました。舞台装置の工夫にも目を見張りました。女性主人公の二人が同時に舞台上にそろうのも見どころでした。演出の金守珍(キム スジン)さんを迎えて、文化座の公演はまたひと回りも大きくなりましたね。佐々木さんのしっとりした落ち着きは、見る側にホッとさせるものがありました。
藤原さんの熱演は言うまでもなく、内容はつらいものでした。主人公をあそこまで追いつめ早逝させたのは何だったのか、考えねばなりませんね。ラストの「旅立つ家族」ということで救いがありました。当地出身の小谷さんのオモニもよかったな。
花散里サークル Kさん
芝居を見始めて5分も経たないうちに「しまった。予習が足りなかった」と思いました。足りないのではなく予習していなかったのですが…。その学習の足りない所をもう一人の方子さん役の佐々木愛さんがお話を進める形で説明してくれていました。大助かりでした。
終戦になるのも知らず海を渡った方子さんに、その想いの強さを感じ強く惹かれました。終戦後の混乱は想像を越えますが、生きるために日本へ帰った方子さんの強さ、家族を想いながらも世の中に認めてもらえず一生を終えたイ・ジュンソプさんの悲しさが伝わりました。どうか、次の旅立ちは家族でジュンソプの大好きなあの大地へ旅立ってほしいと願います。
エーデルワイスサークル Mさん
李仲變の芸術への思いや、戦争という混乱の時代での苦悩が、強く胸に迫りました。また、危険を省みず、一人朝鮮の仲變のもとへ渡る方子の強い愛や両親の思いに感動しました。舞台装置がダイナミックで、若い劇団員たちの踊るような場面転換やベテラン佐々木愛さんの語りと相まって、スムーズに物語が紡がれていき、ぐいぐい舞台に引き込まれていきました。最初の牛の登場は、まだ少し奇妙な感じがしましたが、ラストシーンでの旅立つ家族を表すシーンは、本当に胸を打ちました。
ローマンホリデーサークル Tさん
場面場面の回転の早さにただ驚くばかり、人をあきさせないので眠気もさめました。
2人の方子さんの演技や、やさしい日本人の男性の優しさに何だかホッとする。音や音楽が大きな音になると驚く、人の声も叫び声や大声は何を言っているのか分からないときがある。
リゲルサークル Kさん
初演に比べて演出の変化を感じてとても感動しました。
ブルーベリーサークル Hさん
インタビューの際に「方子さんが実際に観た際にどういった反応でしたか?」という質問をさせていただいたのですが、劇を観ながらとても浅はかな質問だったなあと感じました。お二人、ご家族、ご友人の方々の苦悩は計り知れなく、とても悲しい出来事で、たとえ以前の劇と比べて方子さんの描かれ方が良くなったとしても、この劇を観ることはとても苦しいことだったかと思いました。
戦争での動乱によるものでもありましたが、社会的には認められないことで自分を責めてしまう気持ちの強さでとても苦しくなってしまったところがあるだろうと思いました。きっと今もそういう意識で苦しんでいる方がいるだろうと思うので、多様性が認められる、社会保障もある社会にしていけたらいいなあと強く思いました。
ブルーベリーサークル Hさん
歴史の荒波の中で家族として当たり前に幸せに過ごすことが叶わなかった苦しみ、その中でも絵に自分の人生を投影しつつ身を削るようにして制作に打ち込んだ主人公の切ない想い。日本から手紙を送り心を寄せ続けた妻の愛の深さ~人生を大切に生きたいと改めて思いました。
5月に乾杯サークル Hさん
以前の公開稽古の時に文化座を訪れたことがあり、佐々木愛さんをはじめ何人かの俳優さん達にお会いしたので、とても親しみを感じました。演出も舞台も力強く感動しました。ところどころのコーラスも素晴らしく、さすがミュージカルも得意な文化座だと感激しました。
リアンサークル Iさん
スケールの大きな舞台装置に感激。主人公の芸術家としての心のきび、方子さんの強さ、夫や子供を思う気持ちにも感動。
リゲルⅡサークル Hさん
牛の動きがすばらしかったというサークルの感想がありました。朝鮮の歴史に興味をもちました。テーマがいろいろもりこまれていてひきこまれました。
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