劇団朋友『コルセット』

 

 

観劇した会員の感想を紹介します。

ネタバレを含む場合がありますので、これからこの作品をご覧になる方はご注意ください。

 

 

風車サークル Mさん

会社の30周年記念式典の準備や商品開発の話など会社の現状が提示され、やや陳腐な感じはしながらも、これから物語はどう進むのだろうとわくわくしながら引き込まれていきました。

舞台は、独身で会社を盛り立ててきた辣腕の芳美社長と寿退社をしてしまった社長の相棒であった久莉子の生き方を中心に、現代社会の風潮をしっかり反映させた登場人物の面々が主役の二人の生き方に絡み合っていました。外国籍の方、一寸とんでいる感じではあるが状況を読み取りうまい具合に展開させる。辣腕の上司、退職後再就職した謎の営繕員(仕事の重圧から心を病んで退職した娘とその家族[クレーマー]を持っている)、苦情の受け付けや社長のよき相談相手の古株の女性、シングルマザー、社長の恋人?等々。成功を勝ち得た芳美は、心の隅に家庭を持たなかった人生に一抹の悔恨もある様子。かたや仕事より家庭を選んで、そこそこ幸せな家庭生活を送る久莉子にも、職業人として生きえなかった自分に負い目や自信のなさが垣間見られる。

彼らのそれぞれの生き方を背景にしながら、この会社の社員となって商品開発への突き進む久莉子の娘。悪戦苦闘をしながら仕事を中心に生きようとする彼女に古い考え方を持つ婚約者が登場。それがまあ、やがて働く女性を支える男性へと変身。仕事か、結婚かの二者択一ではない生き方、年の差結婚なども予想される新しい生き方。深刻な話題の中にも笑いがあり、本当にまあよく練られた劇だなと驚きの連続でした。

観劇をしながら、わが身の人生を振り返り、改めて幸せな職業人生であり家庭生活だったなと感慨ひとしお。寒い夜でしたが、心がいつまでも燃えていました。「コルセット」万歳!

 

エスポワールサークル Mさん

15人の老若男女が舞台いっぱいに繰り広げる人間模様に気を取られつつ、台詞やしぐさのニュアンスに導かれて徐々にそれぞれの立場や関係が見えてきて、引き込まれていきました。下着メーカー創業者2人をとりまく30年後の情景が、多様な現実を反映させています。第2幕、隠されていた心裡が吐き出され交錯し、ゆきづまっていた状態を解きほぐしていきます。会社組織の中で個性が尊重され、それぞれが活気づく在りように着地する。2時間40分間魅了されました。寒気ひときわ厳しい夜、帰路乗り合わせた仲間とのおしゃべりに熱が入りました。

 

藤の会サークル Kさん

余談だが、開演前にプリンセスプリンセスの曲が流れていた。懐かしさを感じ、耳を澄ませて聴き入ってしまった。より劇への楽しみも膨らんだ。

開演、セリフが軽快で感情豊か、かつテンポよく展開する舞台に引き込まれていった。登場人物一人一人の立場や視点(性別、国籍、年齢など)から発する生き方や考え方が心に響き、共感したり疑問を感じたり。最後まで目が離せず、登場人物一人一人にどんな明日が待っているのか、期待と不安を想像し、皆の幸せを願いながら見終えることができた。

〝息苦しさ〟〝生きづらさ〟を感じる昨今。「コルセット」を観ることで、自分の生き方、考え方を振り返りつつ(後悔や葛藤の連続だが)、背中をそっと押してもらえるような、また心のほつれが緩んだような気持ちになった。

菅原芳美役の今本洋子さんが、記事の中で、この作品は「応援歌」と語っていた。ぜひ、これからも多くの場で、たくさんの人に、元気や笑顔、熱い思いを届けてほしい。

 

紫雲サークル Sさん

我々高齢者層は普段なかなか母親、働く女性の立場として物事を考え行動する習慣がなかったのか、この「コルセット」でいろいろ気付けるところも多かったし、反省すべき点もありました。

作者や劇団の女優さんたちが考えて練りあげた作品なので今までと違った面白さはありました。ただ、最前列に近い席であったため、逆に声量がわかりづらい点があったりしたのが残念でした。

劇中登場する個々の女性が生き生きとした表現で自分の思いを発していくのは、新鮮で今までにない演劇を味わうことができました。

今後の劇団朋友を期待するとともに、再び鑑賞できることを楽しみにしています。

 

ローズマリーサークル Nさん

「そろそろはずしてみない?」のキャッチコピーが気になりながら芝居を鑑賞。事前学習会やチラシで何となく物語の構成は予測はしていました。どうせ社長となった女性と主婦として、子育て、家のことをしている女性の物のとらえ方・見方の違いのぶつかり合いではないかと・・・。

私も人生振り返れば、こんなはずではなかった!違う人生があったかも?と思う事はありました。年齢を重ねて、振り返ってもやり直せる歳ではない。今になって思う(70歳台になった今)この人生自分で選んで得て来た人生、後悔はしていないが隣の芝生が時々青く見えることはあります。芝居の中で仕事一筋で生きてきた社長が、結婚しても良いかと思えたこと、タイトルのコルセットがはずせたのか?

人生いろいろ、たくさんのコルセットがあるでしょう。貴方はいつ、はずせますか?

 

紫雲サークル Kさん

帰りの車中、「○〇さん(同乗者の奥さんの名前)が観ないでよかった!」の感想に皆大笑い。70代の女性2人、男性2人のそれぞれが劇を通して振りかえったこれまでを、この表現がピタリと言いあててくれたからだ。民間保育園の親としてのつき合いから、約40年、観劇後の会話は何ものにもかえ難い。

これまでの人生に、そしてこれからの人生に「I am OK. You are OK.」

 

アンセルモサークル Kさん

面白かった。女性の生き方を、あれかこれかと二者択一的な描き方ではなく、重層的な描き方で好感が持てた。

結婚か仕事か、どちらかを選ぶ時代が過去にあった。そのどちらも否定するのではなく、温かく描いてあった。また、時代の変化もうまく描いてあり、面白かった。

私は、どちらかというと、久莉子には、子供がある程度育ったら、ワルキューレに戻る選択をしてほしかった。家庭の大切さもわかるが、家庭だけではない社会との接点もあったはず。家族のために尽くしたのに「お母さんのようになりたくない」と娘に言われるのは悲しいではないか。

私も同じようなことを母に言ったことがあるが、ひと昔の女性、いや私の世代でも家庭に入るのが普通の時代があり、多くの観客にも共感できる作品だと思った。

 

エスポワールサークル Kさん

コルセットは、対照的な人生を歩んだ二人が、相手の人生をうらやんだり、自分の人生は大変だったと嘆いてさけんだり・・・。この二人の関係を最後どう決着つけるのかなと、最後まで興味深々でした。

「愛する人と共にいることが幸せ・・・」という言葉が、心に残りました。愛するつれあいは、今はいませんが、愛すべき知人、友人がいることが、幸せだなと、思います。

 

ちょこっと感想

  • 今夜は、素敵な夜になりました。次の演劇も楽しみです。
  • 寒い夜でしたが、いろいろ感慨深く終ったときには、心から拍手していました。よかったです。社長(美芳)とお母さん(久莉子)のやりとり、お互いの気持ちが分かったような気がしました。
いせさき演劇鑑賞会では、いつでも会員募集中です。
詳しくはこちらのホームページをご覧ください!