劇団文学座『ガラスの動物園』

 

観劇した会員の感想を紹介します。

ネタバレを含む場合がありますので、これからこの作品をご覧になる方はご注意ください。

 

 

彩の会サークル Sさん

事前学習会で制作の田中さんより、どのキャラクターにも感情移入出来る、普遍的な家族の物語との説明がありました。確かに、1930年代の物語ですが、引きこもりだったり毒親だったり、今に通じるものがありました。キャラクターも、最後には家族を捨ててしまいましたが、母親にうんざりしながらも、イヤイヤ倉庫で働いていたトムの気持ちも分かります。家族はそうそう捨てられるもんじゃないし。コンプレックスで引きこもりになった、ローラの気持ちも分かります。誰でも、コンプレックスの1つや2つ、持ち合わせがありますからね。ジムの言う通り、コンプレックスは、本人が気にするほど周りは気にしていませんね。しかし、オールドミスなんて言葉、久しぶりに聞きました。ローラの、角が取れたユニコーンは、普通の馬になって生きやすくなったかも知れない、みたいな話しはなんか納得でした。最後の大きな額縁に入ったトムは、お姉さんを心配しながらも父親の様になったのか?ろうそくの火を吹き消したローラは社会に踏み出したのか? 解釈が難しいシーンだと思いました。出演者が4人だったのでセリフの量がスゴかったです。特に母親の塩田さん。出ている時間はずっとしゃべっていた印象です。お疲れ様です。素敵な芝居をありがとうございました。

 

広瀬のほとりサークル Kさん

「ガラスの動物園」例会で、86歳の母が25年ぶりに再入会しました。いせさきで設立準備から父と二人で手伝い、鑑賞してきました。家庭の都合で退会してから長いブランクがある中で、私が誘う気持ちになったのは、秋のつどいに参加した時に、紹介した人と芝居が楽しそうだったのと、昔の仲間から声をかけてもらった事、今回が担当サークルだったからです。聞こえを心配していたら、前の席で観ることができ、ガラスの一角獣やローラの変化する表情を堪能しました。トムの苦悩は現代にも通じるものでした。コロナ禍での久しぶりに楽しいひとときになりました。この会を続けてこられた皆さんのおかげです。ありがとう。

 

彩の会サークル Kさん

家族のそれぞれが思いやりながら、苦難を抱えて生きる人々、どんな時代にも通じる様々な問題が示されていました。何かに熱中できることは、ひとつの救いかとも思われますが、親子でも兄弟、姉妹でも、優しさ故に、もどかしくもあり、そんな様子をみごとに演じた役者さんたちの実力を感じ、見応えのあるお芝居でした。

 

ローズカクテルサークル Hさん

やけに大きな額縁が、不似合いにも舞台の中央にぶらさがっていた。この物語の進行役も務めるトムが登場し、劇が始まる―。トムはこの舞台脚本を書いた、テネシー・ウィリアムズ自身だろう。特に印象的だったのは二幕の場面―。トムがまるで黒子(舞台の登場人物には見えていない)のように舞台上に現れてローラとジムの関係を、トムが操っていたかのようなシーンだ。―ならば、トムに言いたい。「弟ならもう少し姉ローラのために、最後まで夢を見させるストーリーを作ってやれよ!それが姉に対しての愛情なのか!」と。しかし、おとぎ話のようにハッピーエンドで終わるよりも現実を直視したような、ローラにとって悲しい別れ方は確かに心に残った。そして何よりも劇的であった。これは、この作家のスタイルなのかも知れない。―ならば、トムに聞きたい。「ローラの『ガラスの動物園』は、その後どうしたんだい。輝いているのかい?それともくすんでしまったのかい?」と。

誰しも皆、心の中に『ガラスの動物園』を多かれ少なかれ持っているのだろう。今世界は、明るい未来を描きにくい状況に包まれている。今この時代、少しは夢の中や幻想の中に逃げ込んだとしてもおかしくはないだろう。

文学座の財産演目と言われている『ガラスの動物園』。飽きる事のない二時間二十五分だった。もちろん原作のすばらしさもあるが新たな翻訳と解釈で、個々の役者の持つパワーが演劇という世界にリンクしたのだと思う。ラスト近く、アマンダが悲しみと失望の感情を爆発させた流れ溢れる台詞には、思わず引き込まれてしまった。

 

キャロルサークル Oさん

親子で激しく言い争うような場面が何度かあり、それぞれが、それぞれの立場で自己主張しぶつかり合っていました。相手への思いやりや気遣いの無い言葉を聞いていたら、私も両親に対して、同じような言葉を発していたような気がしました。なんて自分勝手だったのだろうと今は亡き両親に申し訳ない気持ちでいっぱいでした。また、我が息子に対しても押し付けがましい言い方をしていないだろうかと思い返しています。セリフの一言、一言がたいへん身にしみました。

 

広瀬のほとりサークル Mさん

期待通りの名作だと思いました。70年前のアメリカの話ですが、少しも古さを感じさせず、日本で生活している私の心を強く揺さぶる舞台でした。親子の確執、家族のすれ違い、夢と現実の生活との乖離、引きこもりなどのいろいろいな問題が絡み合って、私に迫ってきて、いろいろなことが脳裏に浮かびました。

最初に考えたのが、ジムの存在です。彼はローラの救世主かと思わせて、結果的にはローラや母親を奈落の底に落としてしまいます。しかし、見方を変えれば、ローラの心を開かせた点では素晴らしい人にも見えます。ローラが私もガムが欲しい、というシーンは非常に印象に残っています。つらい結末でしたが、ここにはかすかな光を感じました。

トムの行動も自分の夢をかなえるために行動する点は理解できますが、残された者の後のことを考えると複雑な気持ちになります。また、アマンダのような母親には辟易しますが、少なくともトムをローラに引き合わせ、ローラの心の扉を開けさせた点は良かったと思います。

登場人物たちは問題を抱えながらも精一杯生きようとして、もがいて、結果的には、うまくいかない状況に直面することになります。明るく楽しい舞台とはいいがたい作品ですが、心にしみる舞台であり、「トムのその後の人生はどうだったのか」「父親はなんで家出したのか」など観劇した人といろいろと話をしたくなる作品でした。

 

彩の会サークル Kさん

家族間でそれぞれに思いやりながら、自分の意志も実現したい。家族のシアワセって、むずかしい、せつないです。

 

ブルーベリーサークル Sさん

ローラは力強く生きていけるかと思いましたが、ローソクを吹き消したローラの気持ち、という話をみなさんから聞けて、「きっと力強く生きていくんだ」という安心もあります。家族、親子、母親、娘、深い!!

 

キャロルサークル Hさん

とても、各役者さんの立場がわかる感じで、特にアマンダが娘の将来を考えて、良い相手を探している姿に、自分を置きかえたら、そこまで考えていない事に反省させられました。照明の使い方が、事前学習会で聞いていたので、すごく良かったと思いました。

 

点サークル Oさん

ジムの出現でローラが力強く生きていく姿が見えてきた?観た人の年齢によってそれぞれの感想は違ってくる気がする。

 

ブルーベリーサークル Oさん

70年以上前の作品とは思えない。こんな家族の関係は現在にも通じると思った。親や家族にしばられて自由のない若者は今も多いと思うし、昔にとらわれて現実を見ない大人も多い。幻想的というよりは抽象的な舞台に思えたが、あのアト、母親と娘がどうなったのか気になる。

 

点サークル Kさん

明るい表情、考えさせられる表情、多々あって、舞台観、明暗あり、想像あり、見ごたえありでした。

 

ローズカクテルサークル Aさん

トムの回想という成り立ちで、3種類の描き方に照明が工夫されていて違いがわかるらしいとあったが良くわからず、もんもん・・・。ローラの表情の変化が良くわかり良かった。

 

キャロルサークル Mさん

キャストの適役、力量がすばらしかった。脚本も現在に通じる内容で考え深かった。

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