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平面バッフル実験工房 -Open Baffle Test Lab-

平面バッフルとフルレンジスピーカーが大好き。いい音めざして試行錯誤

 平面バッフルスピーカー方式の音の良さを皆さんに聴いてもらいたくて、持ち運べるサイズに小型化しようと思ったのは約1年半前。段ボールでの試作から始まって、ついにダウンサイジングに成功した(と思います)。

 驚いたことに、音質は当初の想定を超えたレベルになりました。何でもやってみないと分からないものだと、改めて思ったしだいです。

 


 

■本機の狙い
平面バッフルの長所を残してダウンサイジングし、普通の環境で普通の人が聴けるようにする。
 

■仕様
フルレンジ(16cm)+ウーハー(16cm) on 平面バッフル方式
・スピーカーユニット

 ダイトーボイス DS-16ⅢF(フルレンジ)

 Visaton FR6.5(フルレンジをウーハーとして利用)

・ネットワーク

 ウーハー用にコイル(22mH)を1個だけ使い高域を-6dbでカット。

 フルレンジをアッテネータで絞り(-15db前後)、ウーハーと音量バランスを調整している。

・周波数特性 55Hz~20000Hz(±10db:実測。F特参照)
・音圧 76db(計算値)
・耐入力 40W(ウーハーのカタログ値)

・バッフル 竹集積材(22cm×42cm 厚さ2cm)

 

■F特


■一般的な平面バッフルの特徴
長所
箱に閉じ込めていないので、スピーカーユニットに背圧がかからない。ゆえに、
・微細な音を表現でき、クリアー。
・余韻が長く美しい。
・全方面に音が出ているので、開放的で音場が大きく広がる。
・聴き疲れしない自然な音。
・低音の質がいい。など
短所

・低音が出にくいこと。出そうと思うと、1メートルくらいのバッフルが必要になる。
・裏面が部品むき出し。

 

■今回の工夫点

 普通の方法でバッフルを小さくすると低音がまったく出なくなるが、それを以下の方法で実用レベルの低音を得ている。

・ネットワークは音質劣化の要因になるので、コイル一個(ウーハー用)しか使っていない。

・フルレンジの音量をアッテネーターで絞るという、通常はやらない方法でウーハーとの音量を合わせることで、大型の平面バッフル以上の低音を得ている。

・バッフルに木材の中で音の伝達速度が最高といわれる竹を使用している。

 

■視聴

 平面バッフルの一般的な長所はすべて残せたと思う。特に、アコースティック系楽器の生っぽさやライブの臨場感などは上質。低音はF特の通りで重低音までは出せてないが、バスドラやコントラバスをどうにか表現できている。クラシックからロックまで聴いてみたが、オールジャンルでいけると思う。

 弱点としては、フルレンジの音量をアッテネーターで絞ってるので音圧がかなり低いことと、若干の音質劣化があること。ただ音圧のほうは、マンションの部屋で普通に聴く音量なら5Wもあれば大丈夫なレベルではある。

 もう1つの弱点の背面の部品むき出しは、構造的な問題なので解決不能。一般の人には裏は見せないほうがいいかも。

(fin)