第千三百四十四段 美味なる一杯のラーメンを求め
昔、男ありけり。今も男あり。
その男、令和元年十月の下旬
となり町にて評判の良いラーメン店へと行きけり。
行きて人気ナンバーワンのラーメンを食し
歌を
裏切りられ また裏切りられとも もとめ行く
まこと美味なる ラーメン一杯
と詠み その店の名誉のために
敢えて店名は伏せけり。
蕎麦屋の言葉に「美味い不味いは十人十色」
があれどラーメン店にても同じなり。
されど最近のラーメン店は「味を濃くすれば
美味い」と客はお思ってくれる と勘違ひの店
目にあまりけり。
確かに最初のひと口はよけれども
スープを飲み進めるうちに味の濃さに
うんざりし食後には満足感はなく
再びは行く気になれぬ店、余りにも多し。
その男の最上の褒め言葉である
「また来よう」といはせる
ラーメン店に巡りあひたき
思ひをさらに強めけり。