第千三百三段 大和し美し 大和編
昔、男ありけり。今も男あり。
その男令和元年九月十五日発行の
立春知立短歌会の季刊誌の第268号に連作
『大和し美し』と題し
十五首を発表し評価を世に問ひけり。
作品は
雨あがり 霧湧き上がる 香具山の
緑鮮らし 大和し美し
月読の 照らす光を 身に浴びて
清しき夜や 大和し美し
河の面に 覆ひかかれる 枝巻きて
藤の花房 大和し美し
朝霧の やうやう晴れて あらはるる
初瀬の山の 大和し美し
此の連作は古代史の悲劇の英雄
日本武尊の辞世の歌の
「大和は 国のまほろば たたなづく
青垣山籠もれる 大和し美し」
を本歌取りしたる作にして
日本武尊への鎮魂歌なり。