第千二百二十六段 宮崎康平の「まぼろしの邪馬台国」を読みて
昔、男ありけり。今も男あり。
その男、令和元年六月十五日
刈谷市文化協会所属の短歌部会の
月例歌会に次の歌を
盲目の 宮崎康平 学者らの
盲点をつき 邪馬台国解く
事前に提出し臨みけり。
歌の心はその男がやうやく読み終へたる
今は亡き宮崎康平著しし
『まぼろしの邪馬台国』を読み終へての
感想の作なり。
而して、彼が生前中の多くの人よりの
質問は「それで、邪馬台国は何処なんですか?」
の一点にして
彼の死後、発見・発掘されたる吉野ケ里遺跡あたりを
比定せしことはまさに彼の長年に亙る研究の成果にして
盲目ながら慧眼の持ち主であり
具眼の士なりしことを証明するものなり。
惜しむらくは吉野ケ里遺跡付近より
邪馬台国の女王の卑弥呼が賜りしと伝はる
金印「親魏倭王」の未だに発見されぬことなり。
歌会での評価は会員の賛同を得られず
低き得点にとどまりけり。残念なり。