新編・伊勢物語 第九百二十八段 シアトルの障害者及び人々(前半) 星原二郎第九百二十八段 シアトルの障害者及び人々(前半) 昔、男ありけり。今も男あり。 その男、平成十五年六月中旬 気の合ふ野球好きの友と アメリカはシアトルへとイチローの試合を見ることだけを 目的に行きけり。行きて試合の始まるまでの時間を持て余し バードウオッチングならぬ人間ウオッチングし歌を 車椅子の 往来多く シアトルの 街と市民に 親しみの湧く パン屑を 鳩に与ふる 媼ゐて いづこも似たる のどけき昼下がり