新編・伊勢物語 第八百五段 長米三郎氏への挽歌 星原二郎 | isemonogatari2のブログ

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第八百五段 長米三郎氏への挽歌

 

昔、男ありけり。今も男あり。

その男、平成三十年三月八日

知立市の短歌グループ「立春」の定例の歌会

事前に提出したる歌は

 

軽口に「来たか(ちょう)さん 待ってた…」と

 妻のふみさんの 笑顔が迎ふ

 

にて 臨みけり。

長米三郎氏はその男の歌の友にて

長き期間 名古屋鉄道の労働組合の委員長を

勤めたる人物なり。

亡くなりしは平成二十九年十一月十五日、おん歳九十二。

死因は脳梗塞。戒名は鑑溪院智徳壽三居士。

五十年近きに亘る労働組合の専従として

数限りなく組合の集会等に参加し

登場の度に掛け声として

「来たか(ちょう)さん 待ってたほい」

を、受けたであろう。

本来、この軽口は、待ちかねたる人物が現れたる時の気持ちを

表す言葉にて、長さんとは特定の人名にはあらねども

たまたま珍しき姓の「長」なれば、親愛なるなる気持ちを

込めての呼び掛けなり。

妻の「ふさ」さんは数年前に逝去。

歌の心、仲睦まじき夫婦なれば、あの世にて

待ちわびたる妻に成り代はりての作なり。

歌会の結果は参加者十二名中六名の得点があり

久し振りの最高得点となりたり。

故人の人徳のお陰とぞ思はれて

深く篤く冥福を祈りけり。合掌礼拝。