新編・伊勢物語 第七百六十八段 奥飛騨温泉(前半) 星原二郎第七百六十八段 奥飛騨温泉(前半) 昔、男ありけり。今も男あり。 その男、平成三十年の真冬、奥飛騨温泉郷は 「奥飛騨ガーデンホテル焼岳」へと行きけり。 行きて歌を 深深(しんしん)と ただしんしんと 雪降りて 奥飛騨の夜 時過ぎゆくか 奥飛騨の いで湯に仰ぐ 雪ほたる 昔(かみ)に変らぬ 時流れゐつ (註)雪ほたるとは綿(わた)虫(むし)の別称なり。