新編・伊勢物語 第三百二十九段 寺津にて 星原二郎第三百二十九段 寺津にて 昔、男ありけり。今も男ありけり。 その男、西尾は寺津へと行きけり。 行きて、歌を 中ほどは 朽ち落ち渡れぬ 寺津橋 不思議に惹かれ などか来にけり 満潮に 川遡(のぼ)りゆく 鯔ならむ 大きく跳ねて 白き腹見ゆ 神木の 男(を)と女(め)のいちやう みどり濃く めぐり飛び交ふ つばめのめをと と 詠み 西尾寺津の八幡社を詣でけり。