サヨナラ | 千手成庵の雑記雑感

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懐古趣味か老化現象か、この頃、自分が生まれ育った昭和20年代がやたらと懐かしいです。

「ALWAYS 三丁目の夕日」の世界です。

主婦は掃除、洗濯、買い物、料理、子育てに忙しい毎日でした。
電気製品と言えば電灯とラジオくらいで冷蔵庫・洗濯機・テレビはまだまだ普及してません。
ご飯やおかずはかまどでマキや炭で煮炊きしていました。

「サヨナラ」は1957年のハリウッド映画で、舞台は朝鮮戦争当時の神戸です。

日本人との結婚が軍規で禁止されていたなか、アメリカ空軍のエリートパイロットのベイリー大尉と日本の歌劇団のスターのハナオギの悲恋物語です。

当時の神戸、大阪、京都、東京がロケ地です。
当時の町並みはみすぼらしく、現在と比べると異国のようです。

物語の背景の日本文化紹介で、歌舞伎、お茶、お花、日本料理、和風庭園、人形浄瑠璃、松竹歌劇団が正確に描かれています。

お茶は若いころの裏千家の千玄室が出演しています。当時からイケメンでした。

同時代に制作された「東京暗黒街 竹の家」はゆがんだ日本の紹介のされ方だとして国辱映画だとの非難されましたが、「サヨナラ」の日本の紹介のされ方は、違う文化に対する敬意のようなものが感じられます。

原作、脚本、それに何より監督がしっかりしているのでしょう。

映画では主演のマーロン・ブランドの演技が他の俳優たちと際立って異彩をはなっています。
いまではハリウッドで当たり前になったアクターズスタジオのメソッド演技ですが、当時は目新しいものでした。

ジェームズ・ディーンもアクターズスタジオ卒業生で、メソッド演技の特徴を「エデンの東」「ジャイアンツ」「理由なき反抗」で見ることができます。

アクターズスタジオの卒業生は他に、アルパチーノ、ダスティンホフマン、デ・ニーロ、ジャック・ニコルソン、スティーブ・マックイーン、ポール・ニューマン等が有名です。

ちなみにこの映画では、ジャズ歌手のナンシー梅木がアカデミー助演女優賞を獲得しています。
東洋人として初めてのアカデミー受賞者でした。

主演のハナオギ(高美以子)を始め日本人出演者の控え目な演技からは、人間の自然らしさ、まごころ、率直さ、ありのまま、常識、素朴さ、飾りのなさ、意図のなさ、作為のなさ、小利口ぶらないこと、無理をしないこと、つつましさ、心のこわばりのなさなどがかもし出されています。

監督やカメラマンは意識してなかったと思いますが、「サヨナラ」に紹介された当時の風物は日本人にとって美意識が道徳であるというような雰囲気を感じます。

映像の持つ力のすごさを感じました。