サマーセット・モーム全集第4巻「人間の絆 Ⅲ」読了 | 千手成庵の雑記雑感

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日々、のんびりと・・・・


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医者になるべく学業に励むフィリップは、患者の一人で、芸術や文学に造詣のあるアルテニーと親しい知己になり、日曜日ごとにアテルニー宅へ訪れ、食事や談笑を楽しみます。

アテルニーは百貨店の広告文書きで、9人の子供のある大家族で、生活は大変ですが、家族思いの父親で、仕事があり食事が得られ、家族が仲良く暮らせる平凡な人生が一番との生活信条です。

フィリップは街で、偶然、コールガールとなっているミルドレッドに遭い、恋愛感情は失せてますが同情と憐憫から彼のアパートの一室を提供します。

ミルドレッドは、家事も仕事をしようとせず、浪費癖から生活費がかさみます。諍いが絶えなくなり、ミルドレッドは、出ていきます。

父親の財産も乏しくなり、フィリップは株をやりますが、失敗して一文無しになり、学業も続けられなく、アパートも出ていかざるを得なくなり、ホームレスです。公園で野宿が続き、飢えと疲労が襲います。

アテルニーはフィリップの窮状を知り、自分の家に迎えます。飢えで苦しむフィリップは、もう恥も外聞もなく温情を受け入れます。

百貨店の案内係の職を得たフィリップは、糊口をしのぎますが、中産階級の彼にとって若い店員たちとの共同生活は耐えがたいものでした。

そんなとき、牧師の伯父が亡くなり、その財産を得たフィリップは、再び、医学生として学び、実習後、ラセンスを取得します。

聡明で健康な肉体を持つアテルニーの長女サリーとの恋愛で、物語は終わっています。

このハッピーエンドは、モームの読者からは不評でした。シニカルな皮肉屋のモームらしくないとのことです。

読み終えて何とも言えない感慨を覚えました。20才頃から何度読んだことでしょう。それでも忘れているエピソードがあったのには驚きました。
モームの観察力、描写力、筋運びのうまさは、つくづくプロの作家だと感じます。

中野好夫の翻訳は、当時、名翻訳と言われましたが、さすがに半世紀もたった今では、表現も古くさい個所が気になりました。

モーム全集は、32巻あります。これからも、ゆっくり楽しんでいきたいと思います。