渋谷区の副区長さんの不祥事が問題となっています。不祥事について詳細はここでは記しません。9月末の任期満了前に辞職されました。当然、退職金は出ます。

 今回、「懲戒処分」がなかったことに議会側からも批判があるようですが、特別職の懲戒はどうなっているのか調べてみたら、「法整備」がまだで、「暫定措置」のままなんですね。

 

地方自治法 附則

第九条 この法律に定めるものを除くほか、地方公共団体の長の補助機関である職員、選挙管理委員及び選挙管理委員会の書記並びに監査委員及び監査委員の事務を補助する書記の分限、給与、服務、懲戒等に関しては、別に普通地方公共団体の職員に関して規定する法律が定められるまでの間は、従前の規定に準じて政令でこれを定める。

② この法律に定めるものを除くほか、監査専門委員の分限、給与、服務、懲戒等に関しては、前項の規定を準用する。

 

一般職については法律(地方公務員法)がすでにあるものの、特別職については未整備のため、この規定により政令で定めることになります。

その政令が下記。

 

地方自治法施行規程

 

第十二条 都道府県の専門委員は、次に掲げる事由があつた場合には、懲戒の処分を受ける。

一 職務上の義務に違反し、又は職務を怠つたとき。

二 職務の内外を問わず公職上の信用を失うべき行為があつたとき。

2 懲戒の処分は、免職、五百円以下の過怠金及び譴(けん)責とする。

3 免職及び過怠金の処分は、都道府県職員委員会の議決を経なければならない。

4 懲戒に付せられるべき事件が刑事裁判所に係属している間は、同一事件に対して懲戒のための委員会を開くことができない。懲戒に関する委員会の議決前、懲戒に付すべき者に対し、刑事訴追が始まつたときは、事件の判決の終わるまで、その開会を停止する。

第十五条 第十二条の規定は、市町村又は特別区の職員の懲戒について準用する。この場合において、同条第三項中「都道府県職員委員会」とあるのは、「市町村又は特別区の職員懲戒審査委員会」と読み替えるものとする。

 

 免職の次は「遠足のおやつ代程度かよ」という突っ込みが来そうな「500円のペナルティー」という非常にバランスの悪い制度のまま放置されています。

 

 あと特別職への免職・過怠金の処分には「職員懲戒審査委員会」を議決が必要であり、この委員人事(職員2人、有識者3人)は議会の議決が必要です。なので今回、懲戒処分にしようとした場合、委員会が常設でなければ委員人事のための臨時会が必要です。

 ちなみに、常設している自治体を私は把握してません。富士見市も例規集に該当する規則自体が見当たらずでした。

 

第十六条 市町村及び特別区に職員懲戒審査委員会を置く。

2 市又は特別区の職員懲戒審査委員会は、委員五人をもつて組織する。

3 委員は、市又は特別区の職員のうちから二人及び学識経験を有する者のうちから三人を市長又は特別区の区長において議会の同意を得て選任する。委員長は、委員が互選する。

4 町村の職員懲戒審査委員会は、委員三人をもつて組織する。

5 委員は、町村の職員のうちから一人及び学識経験を有する者のうちから二人を町村長において議会の同意を得て選任する。委員長は、委員が互選する。

6 職員懲戒審査委員会の委員長は、庶務を整理させるため必要があると認めるときは、市町村又は特別区の職員のうちから、市町村長又は特別区の区長の同意を得て、書記を置くことができる。

7 前各項に定めるものを除くほか、職員懲戒審査委員会に関し必要な事項は、市町村又は特別区の規則で定める。

 

 首長が自主的に給与を返納しようとした場合、給与削減の特例条例が必要なように、副区長についても減給の処分をしようと思ったら、特例条例制定が必要になります。

 

 このアンバランスな制度も見直しが必要と考えます。本当は法律の制定が必要ですが、「政令」である「地方自治法施行規程」の改正で当面の対応ができます。

 

 別のテーマとして、国家公務員は民間企業との人事交流の法律が整備されていますが、地方公務員は未制定で、民間企業には「研修」という形でしか出向させられず、給与も自治体持ちになる仕組みで、早期の法整備が求められます。

 

 新ためて地方公務員について「法整備」が必要な部分が一つ、浮き彫りになったな、と思います。

 

 この点は党政調会の方に提言を出させていただきました。

 

 

参考

200708_p37.pdf (masse.or.jp)

広島市職員懲戒審査委員会 - 広島市公式ホームページ|国際平和文化都市 (hiroshima.lg.jp)