『ヒロシ』#26
このクラスの優等生『ヒトシ』実は二つの顔を持つくせ者であった
特に女子のいる前では誰にも平等に社交的であり裏ではさり気なく悪態をつく人間だった
実は以前話していた『キモシ』とはヒトシが広めていたのであった
ヒトシもヒロシと一文字違いという事で周りからいじられる事もありウンザリしてたのだ
ある日ヒトシの周りでヒロシの話しになり
「!?ああ、キモシのこと?」
ヒトシは思い出したように発した
「キモシ?」
「今みんなそう呼んでるらしいよ?」
「プッ!傑作ピッタリじゃん!」
ヒトシは手を汚さず笑いをとって『キモシ』を広めたのであった
しかしヒロシに対してはいつもどうりに『ヒロシ』と呼び優等生を演じるのであった
そして『キモシ』こと『ヒロシ』の暗黒の時代は始まる。
つづく
『ヒロシ』#25
ヒロシが面白くない人間になったのもいまのことではなく学生時代から片鱗を見せ始めていた
いわゆるオタク道を歩んでたヒロシだが勿論女の子にも興味があった
普段ネクラなヒロシには、まず女生徒から近寄ってくる事はない
やはり明るい方に女の子は集まってくる
そこにはイケメンで級長である『ヒトシ』がいた
見てのとおり『ヒロシ』と『ヒトシ』一文字違いで
人気者の『ヒトシ』はよく声をかけられるので、度々ヒロシが間違って振り向く事があった
悲しいのが、その姿を見ても誰も見てみぬフリをしてる事だった
ヒロシもそれを感じていたか、振り向きざまに
「肩凝ったあ…」
とごまかしていた
しかし優等生のヒトシは無頓着なのかもしれないが誰に対しても平等だった
「ヒロシのおかげでいつも名前間違えされるんだぜ!ハハハ」
と気さくにヒロシにも声をかけていた
だがヒロシは苦笑いしながら舌打ちをしていた
卑屈な男ヒロシ。
つづく