私が飲食店を経営しながら議員に立候補したのは、地域活性化により深く取り組めると思ったからです。ピザを焼いている時、自分の暮らす街がいかに未来に開かれているのか、将来に渡って魅力的な地域としてあり続けられるのか、そう考えたときに明るいイメージがあまり湧いてきませんでした。

日本には西尾市の他に魅力的な地域をいくらでも思い浮かべることができました。世界を見渡せば尚更です。では、自分が思い浮かべる魅力的な地域に引っ越せばいいではないか、と思っていた時もあります。

しかし目の前の仕事に没頭していく中で、自分の地域が持つ魅力に少しずつ気付くようになりました。そこで私は他所の心惹かれる地域に自分が移るのではなく、心惹かれる地域を作っていくことができれば、それはやりがいのある仕事だと考えるようになりました。

私にとって魅力的な地域とはどんな場所であるかと一言で言えば「若い世代が自分の街で暮らしたいと思える環境になっていること」です。自分の街で仕事がしたい、子育てがしたい、老後を過ごしたいと思えるような場所は魅力的な地域です。

そして、それを実現する基盤は活発な地域経済ではないでしょうか。さらにその地域経済を支えるのは、行政だけではなく民間だけでもなく、地域一丸となって取り組むことだと思います。

そんな考えのもと参考にしていたのが『稼ぐまちが地方を変える』や『まちづくり幻想』の著者である木下斉さんの発信でした。木下さんは西尾市にもJCの企画でお越しになり、中村市長と対談されたことがあります。

今回、木下さんの呼びかけで「公民連携で地域を変革する議員『公民連携議員』を増やそう運動!」を展開していて、私としてもその運動に賛同する1人として公民連携議員宣言をしたいと思います。

つきましては、以下方針を掲げて積極的に取り組んでいきますので、皆さんの協力も頂ければ心強いです。

(1)批判より提案という姿勢を基本にする
(2)行政監視もさることながら、重箱の隅をつつくようなことではなく、よりよい街づくりのため未来志向の政策立案をする
(3)行政に提案するだけでなく、まずは小さくとも自らコトづくりの実践をして行政に「やってみせる」努力をする
(4)誰かの噂、意見をもとにした質問ではなく、事実情報に基づく提案をする
(5)公民連携について勉強し、自治体政策に反映させ、歳入拡大と公共サービスの改善を実現する
(6)住民に政策意見を集めるパブリックコメントを担うのは、議員の仕事であると考え、行動する
(7)行政や民間ではうまくいかない、地元調整を率先して行う
(8)地元ばかりではなく他自治体とのネットワークを自ら構築し、地元自治体に必要な資源を集めて貢献する
(9)自治体が必要なことを自らの自由な判断で行うため、歳入拡大にむけた稼ぐまちづくりを牽引する
(10)自らの思想、活動、結果を広くインターネットを通じて公表する

これらの基本的な方針について、もう少し詳しくは以下に書きましたので、長い文章になりますがよければ読んでください。

(1)批判より提案という姿勢を基本にする

過去や現状の問題点を浮かびあがらせるために批判的アプローチは重要です。それに対して提案は、問題点の解決策を提供することを目指します。新しいことに挑戦していく、ゼロから1を生み出していくことに積極的でありたいと思います。議会は市政の監視機能としての役割は当然必要ですが、そこから一歩先に進み、解決策を提案していける政治家として活動していきます。政策提言をしていくことこそ、議会に席を持たせてもらうための条件であると考えて取り組んでいきます。

(2)行政監視もさることながら、重箱の隅をつつくようなことではなく、よりよい街づくりのため未来志向の政策立案をする

地域課題を掴むこと、地域住民と共に行動できること、そして長期的に取り組んでいけることで、より良い政策立案を生むと思います。現在も取り組んでいることでは、年に8回行っている市政報告会をさらに充実させていきたいと思っています。現状課題の共有と、その解決策について、自分の考えを発信する機会をオンライン上と対面の場と両面で続けていきます。

(3)行政に提案するだけでなく、まずは小さくとも自らコトづくりの実践をして行政に「やってみせる」努力をする

これまで飲食店を通してまちづくりに取り組んできました。魅力的な飲食店があれば魅力的な人が集まって、その地域の魅力が高まっていくと思います。今、取り組んでいることの1つは、空き家・空き店舗活用のためのマッチングサービスです。何か想いを持った人を応援することで、地域には新しいサービスやビジネスが立ち上がってきます。その中では、新参者と地元住民との間で不協和音が生じたりもします。それを解消していくことも、コトづくりを積みあげていくのに必要なことだと考えています。

(4)誰かの噂、意見をもとにした質問ではなく、事実情報に基づく提案をする

個人的にこれは難しいと感じる1つのことです。議員として地元住民から届く意見や要望はしっかり行政に届けていきたい。ただそこに、感情移入してしまうと、一方的な提案になりがちです。振り返ってみるとそういう事例を思い出します。思いや感情は、問題に立ち向かうための初動の力にもなりますが、それが公衆の利益になるとはかぎらないので、合理的な説明に努めていきたいと思っています。

(5)公民連携について勉強し、自治体政策に反映させ、歳入拡大と公共サービスの改善を実現する

西尾市での公民連携を考えるうえでは、1つ頓挫した事例として「西尾式PFI事業」をあげることができます。この反省点としてあげることができるのは以下の要点です。

①情報不足:議会及び市民に対して事業計画が不透明だった。
②コミュニケーションの難しさ:行政と民間事業者との間で価値観や方向性にズレが生じて、軌道修正ができるような信頼関係を築くことができなかった。
③決定権が誰にあるのか:計画を進めていく中で意見が分かれてしまうことがある。そういう時、誰に決定権があるのかが不明確であった。
④市民意見との乖離:事業者の企画が市民ニーズと合致していなかった。

行政と民間で企画を進めていく際には、これらの反省点を踏まえてそれぞれの役割を明確に決めておくことで、効率的な運営から歳入拡大がもたらされて、サービスの質向上にも期待できます。

(6)住民に政策意見を集めるパブリックコメントを担うのは、議員の仕事であると考え、行動する

パブリックコメントの目的は「より良い政策作り」のために実施されますが、ではどれだけ成果があがっているのかと言えば、機能していないのが現状だと私は見ています。多くのパブコメに寄せられる意見者は1桁です。その原因としては、パブコメの制度自体の認知度が低いことがあげられます。その結果、行政側は義務的仕事になり、議員側からは「こんな制度意味がない」という声が聞こえてきます。行政が今改善できることは、Decidimといった参加型合意形成プラットフォームを設置して、オンライン上でいつでも意見が言える環境を作ることでは1つ有効な策だと思いますし、議会はパブリックコメントを集めるために動いていく必要があります。

(7)行政や民間ではうまくいかない、地元調整を率先して行う

私が議員の立候補を決めた大きな理由はここにあります。私は飲食店を今も経営しています。コロナウィルス感染症が2019年に拡大しはじめて、日本中が不安に駆られました。飲食店で働く私もしかりで、先がまったく見通せなくなりました。ところが店は幸いにして、屋外席中心であったことから、多くのお客さんが来てくれました。ですが、すぐにそれを喜んでばかりではいられない状況であることが分かりました。市外・県外ナンバーが目立ち、地元住民は「こんなに地域外から人が来たら困る。店を閉めてくれ」と迫られました。私は共に働く従業員が10数名いて、閉めたら給料を払っていけなくなることはすぐに計算できたので、休業する選択肢は選べませんでした。今も、何が正解だったのか分かりません。しかし、その時に痛感したのは、その地域で生業を持っている人と、地域住民との調整役がいなければ、どっちもストレスで辛くなるということでした。議員になって、双方の妥協点を見つける潤滑油として自分が動けば環境は良くなる、と思いました。

(8)地元ばかりではなく他自治体とのネットワークを自ら構築し、地元自治体に必要な資源を集めて貢献する

自分の地域だけで何とかしようとしがちです。例えば人口取り合い合戦で他自治体と競争して、無理な支出を続けても、長期的に傷が広がることも考えられます。パイの奪い合いに陥るのではなく、双方の利益になるような連帯の道を歩みたいです。市議会議員の視線は地元支持者のために内側に向きがちです。地元のために動くのは良いことですけど、木だけでなく森の利益も同時に考えられるようになるには、他地域を知ることも大事です。小さな街ではごみ焼却施設を持てなかったり、スーパーマーケットも出店にはきません。しかし農水産物や安い土地など、武器になりうるものを作れれば、近距離間での連携で補い合うこともできます。遠方地域とは、交流を通じて意識変革や、交流人口の増加に期待できます。さらに他地域との交流は、新しいビジネスの創造や、文化交流から観光施策につながることもあり得ます。

(9)自治体が必要なことを自らの自由な判断で行うため、歳入拡大にむけた稼ぐまちづくりを牽引する

歳入拡大のためには、収入をあげることと、支出を減らすことの2つにまず分けることができます。収入を上げるためには税収の増加、新規事業の開発、公共事業の収益化などが方法としてあります。支出を減らすほうでは、事業費のコストダウン、公共サービスの運営効率化、赤字であれば最後は人員配置の見直しも考えなければいけません。これらのことは行政だけに託すのではなく、民間事業者は行政が支援する新規事業に参加したり、住民は地域活性化事業に参加したりすることで、地域活性化の後押しをすることができます。議会は公と民との潤滑油となって、利害関係者の間で調整していくことが重要になると思います。

(10)自らの思想、活動、結果を広くインターネットを通じて公表する

議会改革で私が特に取り組む特に取り組むべきことの1つにあげるのは、“議会の見える化"です。政治家はうさんくさい人に見られがちです。しかし、地域の暮らしを豊かにしていくための政策立案ができる存在でもあります。その存在を生かすも殺すも住民次第の面があります。「議員活用マニュアル」を作ったほうが良いとも思っています。議員にはそもそも何ができて、何ができないのか、理解している住民が増えれば、市民が本当に求める政策実現の可能性は高まっていくはずです。そのためにインターネットの活用は必須です。そんなことをいって自分ができているかと言えばうまく使いこなしているとは言えません。政治活動は主に公式LINEとブログで発信しています。まだ活用しきれていないところもあるので、さらにタイムリーな情報発信に取り組んでいきます。

これらの考えをもとに、地域課題を解決して稼げるまちづくりを実践していきたいと思いますので、引き続き皆さんご一緒に取り組んでいけることを楽しみにしています。