韓国映画に興味がない人にはつまらぬ話題かもしれないが、YouTubeを見ていたら「殺人の追憶」(2003年)の未公開映像の動画が紹介されていた。本編には採用されなかった場面である。興味深いのは、雨のトンネル前で第三容疑者(パク・ヘイル)を取り逃がしたクライマックスの後にパク刑事(ソン・ガンホ)とソ刑事(キム・サンギョン)の別れの場面があることである。以下のような描写である。


✵捜査本部から去るパク刑事。

✵取り調べ室でパク刑事はソ刑事に別れを告げる。

✵取り調べ室に残るソ刑事。

✵第三容疑者が座っていた机。蛍光灯が明滅する。

✵涙を流すソ刑事の肩に謎の手が。


✵海辺で戯れるパク刑事と恋人。(画像はすべて「YouTube」より)

初めてこの映画を見た時も「二人の刑事の別れの場面がほしいよな」と思っていたので、それが見ることができて凄く得した気分になった。この場面に続く本作のラストシーンは、前景から十数年後の2003年。かつての殺害現場である稲穂が輝く田園。すでに刑事を辞めサラリーマンになったパク刑事がかの地を再訪し、地元の少女に出会う場面である。秀逸なラストシーンだが、脚本家としては、ここにかつての同志・ソ刑事を同行させる作り方はなかったのかと思わずにはいられない。