今年の11月にサンモールスタジオで上演するISAWO BOOKSTOREの新作公演のキャスティングが決まりつつある。すでに一部では情報を公開したが、タイトルは「ジキルの告白-大学助教授教え子殺人事件-」という。本作は1973年に起こった「立教大学教え子殺人事件」を題材にした「昭和事件シリーズ」の最新作である。登場人物は老若男女合計8人。


今回に限ったことではないが、劇団公演とちがい、プロデュース公演は、その役を誰にやってもらうか決めるまでが大変である。もちろん、台本を執筆する際にイメージ・キャストはいなくはないが、その人がその役をやってくれるかどうかはわからないし、第一候補がNGだった場合、次の候補者を探さなくてはならないからである。


今回の公演はわたしが主宰するISAWO BOOKSTOREの公演なので、作・演出は元よりプロデューサーもわたしが兼ねている。だからわたし自らが様々な俳優たちに連絡を取り、出演のオファーをすることになる。まったく未知の俳優さんに声をかけることもあるが、大概はすでに知り合いである俳優さんに声をかけることが多い。それはそれで仕方ないとは思いながらも、未知の俳優さんに声をかけることができたならどんなにいいだろうと思う。


プロデューサーとは、まったく未知のクリエイター同士を結びつける仕事だと思うが、その時にモノを言うのは、そのプロデューサーの人脈の広さと資金調達能力である。自分で言うのもナンだが、わたしはそのような人間ではなく、むしろ自閉して生きているので、その苦労はさらに大きなものになる。また、せっかく引き受けてもらえそうになってもギャランティの問題で頓挫することもよくある。わたしが主宰するユニットに潤沢な製作費があるはずもない。


どなたかが開発してくれないかとずっと待望しているのだが、プロデューサーを介さずに未知なるクリエイター同士を結びつけるマッチング・アプリを開発してくれる人はいないだろうか? 「出演してほしい!」と思う作・演出家と「出演したい!」と思う俳優を結びつける効率的なマッチング・アプリ。代理店を介さずに商品が取引できる出会いのシステム。まあ、出演料の問題が絡むので、これはこれでややこしい問題が発生する可能性も大きいとは思うが、わたしとその人を出会わせて、すばらしい赤ん坊を作り出す合理的な方法は何かないものか?


✵マッチング・アプリ。(「LiPro」より)