しばしばTickTock で関西弁をしゃべるロシア人の若い女性を見かける。ちょっと気になって調べたら、その人は関西在住のモデルのディアナさんという人であることを知った。うら若きロシア美女が「知らんけど」「ちゃう言うてんねん」「アホちゃうか」などという言葉を使うのがちょっとシュールだが、その外見としゃべる言葉のギャップがこの動画の面白いところである。


内容は主にロシアと日本の文化の違いを指摘するものが多いのだが、そんな一編の中で次のような発言があった。それはロシア大統領と日本の首相への国民の態度に関する違いを指摘するものだった。


「日本やと、岸田さんのことを”増税メガネ“とかあだ名つけてからかったりしとるやろ。ロシアで大統領のこと、そんな風に言うたらどないなるか? 殺される」


おそらく大げさなことを言っているのではなく、本当のことだと想像する。自国の代表たる総理大臣を公的に揶揄したり、批判したりする国民を時の権力が快く思わないのは当然である。さすがに殺すのは行き過ぎだと思うが、何らかの制裁を加えられる政治体制があっておかしくはない。人類史上、その最たる政治体制がドイツのナチス・ドイツによるそれであろうか。ナチス・ドイツ政権下においてアドルフ・ヒトラーに対して「侵略ヒゲ野郎」とか発言したら間違いなく抹殺されると思う。あるいは、北朝鮮において国家元首を「とっちゃん坊や」など揶揄などしたらすぐに暗殺要員が派遣され、その人は抹殺されるにちがいない。


そういう意味では、時の首相を「増税メガネ」あるいは「増税クソメガネ」と揶揄しても何のお咎めを受けない日本という国は、相当に自由な国であると言える。こんなことが許容されるのは、日本という国は、政治権力とはまったく関係なく独立した天皇制を維持しているからにちがいない。なぜなら、岸田首相に対する揶揄は許されても令和天皇への揶揄はほぼ絶対的に許されない。不敬罪に該当するからである。わたしごときが指摘するのもおこがましいが、このような世俗的な権力と不可侵な象徴を分離・両立させている点に日本という国の在り方の独自性があると言える。(王室が存在するイギリスも似ているが)


件の関西弁ロシア人モデル、ディアナさんにとって日本という国は、住みやすいよい国と映るのか、著しく愛国心に欠けた愚民の集まりと映るのか?


✴プーチン大統領。(「ロイター」より)