ずいぶんと古い曲だが、シーナ・イーストンの「9 to 5」は大好きな曲で、未だに折りを見て聴いている。これはシーナがまだ新人だった頃(1980年)の曲だが、そのメロディ・ラインがすばらしいと思うのである。しかし、歌詞の内容をきちんと知らなかったので改めて調べてみた。


彼はお金を稼ぐために一日中働く

だから私達は一晩中遊んでいられる

彼は朝の電車に乗って 

9時から5時まで働くの

そしたらもう一つの家に帰ってきて

彼を待つ私を見つけに来る

彼はいつもあの朝の電車に乗る  

9時から5時まで働くの

一生懸命働くのよ

そしてもう一つの家に帰って来る

彼を待つ私を見つけに

彼は朝の電車に乗っていく


意外にもこの曲は、自分のことではなく彼のことを歌っている曲であった。わたしはてっきりОLとして「9時から5時まで」会社で働いている自分のことを歌っている曲だと思っていたが、そうではなかったわけである。「もう一つの家」という歌詞が意味深だか、まさか不倫の歌ではあるまい。いずれにせよ、わたしは勝手に「ОLは辛いよ」という内容の歌だと思い込み、それらしい歌詞を頭の中で作っていたのである。まったくとんだ勘違いだが、そのように思い込んだことには理由がある。


この曲がヒットしていた頃、すなわち1980年頃、「9時から5時まで」というタイトルの映画が公開された。ジェーン・フォンダがキュートなОLに扮する会社内の騒動を描くオフィス・コメディである。わたしはこの映画の主題歌と本作を混同していた節がある。しかし、正しくは、こちらの主題歌はドリー・パートンが歌う同名曲である。ゆえにわたしは映画の内容と関連づけて、シーナ・イーストンの曲を「ОLは辛いよ」という内容と勘違いしたのだった。資料によれば、そのような偶然による視聴者の混同を避けるためにシーナの曲は後「Morning Train (9 to 5) 」と改名されたという。 


このようにこの曲の本来の歌詞を知ることで、わたしの長い間の誤解は明らかになったわけだが、それでもこの曲が大好きなことに変わりはない。ショートカットのイギリス美人であるシーナ・イーストンは1959年生まれ。わたしよりニつ年上のお姉さんである。つまり、この歌を歌っていた頃、シーナは21歳、聴いていたわたしは19歳だったわけである。

✵シーナ・イーストン。(「HMV」より)