Amazon primeで「密着!アメリカ裁判24時」のスペシャル版を見る。アメリカの裁判所の法廷で起こった様々な印象的な出来事を紹介する番組である。日本では考えられないことだが、アメリカでは裁判はテレビで公開されている。だからこういう番組が成り立つわけである。


番組では、裁判官をナメて罰金を追加される少女、被告人に殴りかかる被害者の父親、法廷から脱走する被告人、再審で無罪を勝ち取り泣き崩れる受刑者など、法廷で起こった様々なハプニングが紹介される。とりわけ印象的だったのは、裁判官に悪態をつく被告人の姿である。判事殺害予告の罪で逮捕され、起訴されたその被告人は裁判官と以下のようなやり取りをする。裁判所に親権を剥奪された男である。


被告人「子供たちを奪ってその態度か?」

裁判官「・・・」

被告人「お前はくそ野郎だよ!」

裁判官「ここにいたいですか?」

被告人「俺のナニをしゃぶるか?」

裁判官「それはよしておきます」

被告人「上手そうだけどな」


ほとんど法廷侮辱罪に該当する暴言だが、こんなやり取りが平気で行われるアメリカの法廷は何と自由な国なのだろうという感想を持った。こう言ってはナンだが、被告人が裁判官に投げつける罵倒語がサマになっている。さすが「Fuck you!」の国である。裁判官も裁判官で、すぐに「退廷!」と怒鳴り散らすこともなく冷静に対処している点もすごい。


先日、日本の法廷でもあおり運転で死傷事故を引き起こし、自動車運転処罰法違反などの罪に問われた男の控訴審で、懲役18年の判決を受けた被告人が、退廷する際に裁判長に「俺が出るまで待っとけよ」と脅迫めいた捨て台詞を吐いて物議を醸したが、上記の被告人に比べたら可愛いものである。日本の法廷で「俺のナニをしゃぶるか?」などと発言したら、裁判官は激怒して被告人は即刻、退廷を命じられるにちがいない。


ところで、アメリカではテレビ中継もされる裁判の模様が日本ではなぜされないかご存知だろうか? もちろん被告人のプライバシーを尊重しているからだと思うが、ものの本によれば、終戦直後はテレビカメラは法廷に入っていたらしい。しかし、ある時、カメラマンが裁判官席に上がり込み、被告人を前から撮影しようとして裁判官を怒らせ、以降、カメラ撮影は規制されることになったという。わたしは日本でも裁判をテレビ中継すればいいのにと思う。もちろん、自分が被告人でない限りという条件つきだが。


*同番組。(「UNEXT」より)