間もなくシアター・アルファ東京で拙作「バンク・バン・レッスン」が上演される。これまでもたくさんの団体が本作を取り上げ上演してくれたが、久しく見る機会はなかった。下記の通りずいぶん前の作品だが、未だにたくさんの後輩たちが本作を上演してくれることは作者として嬉しい。


ところで、先日、「凶器のリアリティ」と題してわたしが書いた初期作品には拳銃やナイフがしばしば登場するということをこのブログに書いたが、本作はその代表的(?)な一本である。さて、本作に登場するそれらの凶器が本物に見えるか、どうか? 依頼されて公演パンフレットに寄稿した文章は以下の通り。


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暴走する想像力

「バンク・バン・レッスン」の初演は1984年、劇団ショーマにより池袋の旧シアターグリーンで上演された。びっくりすることに、あれから40年も経った今でもこの演目は様々な人たちが上演してくれる。作者自らが言うのもおこがましいが、これはすなわち「バンク・バン・レッスン」は時を超えて名作になったということである。

銀行強盗の防犯訓練がエスカレートする模様を描く本作が、なぜこんな風に時代を超えて取り上げてもらえるのか不思議と言えば不思議だが、この芝居の魅力はコメディの装いを持ちながらも、つまるところ演劇賛歌の内容を持っているからではないかと思う。本作に登場する人々はみな誰よりも目立ちたがりの俳優のようにも見える。

本作を戯曲集として出版する際に、その本の帯に記した文言は「暴走する想像力」である。この文言を書いたのは他ならぬわたしなのだが、本作の内容を的確に表現していると思う。本作で暴走するのは機関車ではなく人間の想像力なのである。そして、その暴走の仕方が「バンク・バン・レッスン」の楽しさであると思う。新しいメンバーによる「バンク・バン・レッスン」がどんな暴走ぶりを見せてくれるのか、今から大いに楽しみにしている。

高橋いさを
劇作家・演出家。
ISAWO BOOKSTORE主宰。
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「バンク・バン・レッスン」
脚本:高橋いさを
脚色:梶原涼晴、なのるなもない
演出:梶原涼晴
エグゼクティブプロデューサー:秋山真太郎
●期間
2024年2月7日(水) ~ 2月11日 (日)
●劇場 
シアター・アルファ東京 
●出演 
小野緑(最終未来少女)/武子直輝/秋山真太郎(劇団EXILE)/小澤雄太(劇団EXILE)/八木将康(劇団EXILE)/志田音々/伊藤駿九郎/和田崇太郎/ヒデ(ペナルティ)

暴走する想像力がどんな世界を作り上げているのか、興味がある方は劇場へ足をお運びください。
 
*公演チラシ。