本日より

本日、「八月のシャハラザード2024」が幕を上げる。当日パンフレットに書いた文章は以下の通り。

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ご挨拶に代えて

この芝居は今から30年も前に劇団ショーマ公演として上演したものである。当時、わたしはまだ三十代の頭で、今から思うとずいぶんと若いが、主観的には二十代の純粋さを失った中年男の心境だった。あれから長い時間が経ち、オーディションで勝ち残った若者たちと新たにこの芝居に取り組むことになったのだが、改めてこの芝居に向き合うと、この芝居は案外と人間の人生における普遍的な真実がきちんと描かれているように思う。

「シェイクスピアは二つのことしか描かなかった。それは誰が誰を愛するのかという芝居と誰が誰を殺すのかという芝居の二つです」

これは数多くのシェイクスピア劇を手掛けた演出家の故・出口典雄さんの言葉だが、本作はまさにそのような内容を持っていると思うからである。すなわち、愛と復讐の物語。また、故・井上ひさしさんに「悪党と幽霊」というタイトルのエッセイ集があり、その本の中で井上さんは芝居の登場人物としてその二人の人物の魅力について語っているが、本作の主人公もまさにそのような人物である。

時を経て現代の若者たちと作る「八月のシャハラザード」がどのような舞台になっているかはご覧いただいて判断してもらうしかないが、わたし個人としては、わたしがあの世に旅立つことになったら、この芝居を追悼公演として後輩たちに上演してもらいたいものだと密かに思っている。

本日はご来場くださいましてありがとうございます。最後まで楽しんでご覧くださいますことを。

高橋いさを

劇作・演出家。

ISAWO BOOKSTORE主宰。

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高橋いさを名作劇場vol.1　

「八月のシャハラザード2024」
作・演出/高橋いさを

●日時
2024年1月24 日(水) ～ 1月28日 (日)
●場所
萬劇場（大塚）
●出演
【Aチーム】
井上遥、江刺家伸雄、湊ひな、森あす花、鵜飼拓斗、上村亜未、中野克馬、文山累、虎玉大介
【Bチーム】

井上遥、谷澤翼、外尾風音、岡本真奈、真田大河、茉月りりこ、三島竜太、大川日南、虎玉大介

【ダンサー】

大槻朱音、星、城月まこ、阿部樹里、森あす花（B）、大川日南（A）

＊健康上の理由によりBチームの菅野郁弥は降板しました。