日本国憲法と法律はどのような関係にあるのか、今までわたしはちゃんと認識していなかったが、憲法とは、その国の法律より上位にある理念であるにちがいない。その国の法律を法律たらしめる元締めのような存在――それが憲法であろう。ネットで調べてみたら以下のような記述があった。


●憲法と法律の違い

憲法は国の基本となる「最高法規」です。法律は国会が制定するきまりです。憲法に反する内容の法律は制定できません。 憲法 は「国家がどうあるべきか」「どのように政治を行うか」や「国民の権利や義務」などを決める基本となる最高法規です。  対して、法律は国会が制定するきまりです。憲法は日本に一つしかありませんが、法律には「民法」「刑法」「地方自治法」など、様々なものがあります。 (「ベネッセ教育情報サイト」より)


学生時代、演劇活動にかまけて、こういう基本的な知識をきちんと身につけなかったことが悔やまれるが、わたしはこの歳になってようやく「最高法規の構造」とでも言うべき日本国の国家的な理念の在り方を理解した。言うまでもなく、この憲法は太平洋戦争に敗れた日本が連合国から押しつけられた憲法である。憲法第九条「戦争放棄」が問題となるのは、こういう日本国憲法の成り立ちに関係している。


日本国憲法にはちょっとした思い出がある。中学時代に社会科の担当だったK先生の指導で前文をすべて丸暗記させられたのである。「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し」というアレである。当時、中学生だったわたしはK先生のやり方を「手抜きだ!」と感じなくもなかったが、これはこれで一つの社会科教育の方法だと思う。「日本国憲法前文」は、最高法規を集約した国の理念のエッセンスであり、この憲法下に生きる日本国民すべてが諳(そらん)じることができて当然の文章なのだから。


必死で「日本国憲法前文」を暗記した遠い日のことを思い出す。K先生が鬼籍に入られて久しいが、授業の度に違う色のスーツを素敵に着こなすお洒落でダンディな先生だった。


*日本国憲法。(「あすなろ学習塾」より)