信頼とは継続のことであると思う。例えば、アナタがある会社に就職したとして、気まぐれで出社しても人々の信頼を勝ち得ることはできない。毎日、決まった時間に会社へ出向き、定時まで仕事をこなし、帰宅すること――それが人々から信頼を得る最低限の条件であろう。もちろん、問題は出社することでなく、アナタがいかなる仕事をなし得たか、その内容であることは言うまでもないが、外面的には継続して出社することが第一の要因であろう。


例えば、アナタがある女と結婚して家庭を持ったとして、気まぐれに家に帰っても妻や子供たちの信頼を勝ち得ることはできない。毎日、決まった時間に帰宅して、また次の日に出社すること――それが妻や子供たちから信頼を得る最低限の条件であろう。もちろん、問題は帰宅することではなく、アナタがいかに家族を愛し守ろうとするか、その責任感であることは言うまでもないが、外面的には継続して帰宅することが第一の要因であろう。


つまり、信頼とは一つのことを長い時間をかけて継続することによって勝ち得る種類のものである。周りの人々との信頼関係が一日で作れるものではなく、何ヵ月も、何年も、場合によっては数十年もかかるものであることは、そういう身近な例がよく教えてくれる。継続なしに人々から信頼を得ることはできないのである。これは人類普遍の真実ではないか?


わたしは、かれこれ40年も芝居作りに関わっている。肩書きは劇作家・演出家である。決して「売れている」わけではないが、転職することなく、この仕事にずっと取り組んできた。継続してきたのは、他人からの信頼を得るためではなく、自らの欲望に忠実だった結果だが、その結果としてわたしは舞台の作り手としての信頼をある程度は得たと思う。わたしは自らをそのように名乗り、人々もわたしをそのような人として認めてくれるから。これはわたしの継続の成果である。


翻って「高橋いさをの徒然草①②」も毎日更新を続けて11年目である。この事実は、わたしがブログ(日記)の書き手として信頼に値する人間であることをよく証明している。(笑)


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