《およそ1.5キロに渡って女性のあとをつけて、自宅マンションまで押しかけ、体を触るなど、わいせつな行為をした疑いで、30歳の男が逮捕された。(中略)2年にも及ぶ執念の捜査が、事件解決に結びつけた》


ネットでこんな記事を読んだ。記事によれば、事件は二年前に大田区大森で起こっていて、防犯カメラの画像解析により、警察は容疑者の割り出しに成功し、逮捕に至ったという。容疑者はミニスカートをはいた若い女性の脚に吸い寄せられるように犯行に及んだという。すでに容疑者は大阪に転居していて既婚者となっていた。 つまり、容疑者は過去に冒した罪によって裁かれたわけである。住む場所も変わり、結婚もし、すっかり忘れていたであろう過去の犯罪をいきなり突きつけられて、容疑者はさぞびっくりし、後悔したにちがいない。


ところで、わたしは4月15日のブログに「誘惑」と題して以下の事件を取り上げている。


3月19日夜、41歳の会社員の男が帰宅途中に見かけた女性(20代)の尻にムラムラして、女性を約10キロに渡り尾行し、路地裏で襲いかかり、女性の尻を数回掴み、転倒させ全治二週間の怪我を負わせた。逮捕容疑は強制わいせつ致傷》


こちらは「1.5キロ」ではなく「10キロ」である。追跡距離が長い方が偉いということを言いたいわけではない。どちらも似たような男の性的衝動の愚かさが生んだ事件だと思う。しかし、だからと言って、正義を振りかざして、二人の容疑者の行為を断罪するのも忍びない。被害女性の恐怖を想像すれば迂闊なことは言えないが、反論があることを承知で言わせてもらうなら、件の女性の脚と尻に罪はないのかと言いたい気持ちがある。「誘惑したのはそっちじゃねえか!」という忸怩たる思い。


以下は戯れ言であるが、わたしのこういう気持ちを汲みとってくれる法律家が現れると、刑法のわいせつ罪の定義に修正が加わるはずである。こういうわいせつ罪について「悪いのはお前だけじゃない」という視点が大勢を占めるようになれば、女性の外出する際の服装に関する規定が刑法に盛り込まれ、被害者の年齢やスリーサイズも問題になり、規定に違反した女性側も処罰の対象になる・・・わけないか。いずれにせよ、ともに男性の哀れさをひしひしと感じる事件である。


*逮捕。(「いらすとや」より)