DVDで「武器人間」(2013年)を見る。この映画の存在はずいぶん前から知ってたが、間抜けなタイトルとパッケージのビジュアルの奇天烈さから「ムカデ人間」風のゲテモノ映画を想像し、敬遠していた映画である。


第二次世界大戦末期。ソ連軍の一部隊がナチスドイツの占領地域へと向かう途中、朽ち果てた教会へ辿り着く。彼らが教会の地下へ足を踏み入れると、そこにナチスドイツの秘密工場がある。その工場では死体と金属製の武器を組み合わせた異形の人間が製造されていた。部隊の前に人々に改造を施した狂気の博士が現れる。


想像した通り、相当に“ぶっ飛んだ”内容の映画であった。「ムカデ人間」を見た時にも同じことを書いたが、この映画が描く内容を稚気(ちぎ)に溢れた楽しい嘘として受け入れるか、荒唐無稽な怪奇ショーとして退けるか、観客の態度は二つに分かれるように思う。わたしはギリギリ前者である。第二次大戦中にナチスドイツが秘密裏に人間と武器を融合させた「武器人間」を作ろうと目論んでいたという大嘘は、まったく荒唐無稽なフィクションであると思う反面、ひょっとしたらそのようなことを考えた人間がいたかもしれないと思いもするからである。「ナチスの発明」(彩図社文庫)という本によれば、ナチスドイツは、戦時中、相当に奇妙な実験をして新兵器を開発しようと試みていたらしいから。


武器人間たちの造形は、みな“手作り感”満載で、見ようによればほとんどコメディの登場人物のよう。それらの“怪物たち”を眺めていると、わたしの脳裏を「シザーハンズ」や「エイリアン」や「遊星からの物体X」や「リアル・スティール」や諸星大二郎の怪奇漫画などがかすめる。決してお勧めできるような内容ではないのだが、グロテスクな珍品を好む人には楽しいはずである。誰もが一笑に付して、決して手を出さないであろうこういうあくどい内容の映画をとにかく「作ってしまった」ことは凄いと思う。テレビ放送はたぶんできないという点が、本作の特異な魅力である。


*同作。(「Y!映画」より)