現在、上演中の「壁の向こうの友人」の舞台は拘置所の面会室である。一般的に拘置所と刑務所の違いを理解している人は少ないように思うからちょっと説明すると、拘置所は裁判中の未決囚が収監されている場所、刑務所は裁判で有罪となった人が服役する場所ということになる。

「収監」と「服役」という言葉が言い表わしているように、刑務所の受刑者は一定の時間、刑務作業を強制されるが、拘置所の未決囚は労働を強いられているわけではない。刑務所には施設を囲んで高い壁があるが、拘置所はそのようなものはない。また、刑務所の受刑者は同一の囚人服を着ているが、拘置所の未決囚は基本的に私服である。日本には現在、全国に合計八ヶ所の拘置所がある。主な拘置所は以下のようなものである。

●東京拘置所
●立川拘置所
●名古屋拘置所
●京都拘置所
●大阪拘置所
●神戸拘置所
●広島拘置所
●福岡拘置所

これらの拘置所と多数ある支所に裁判中の未決囚が収監されているわけである。本作の舞台は名古屋拘置所である。彼らは受刑者と違って裁判が終われば施設から別の場所へ移るわけだが、地裁、高裁、最高裁と争いが続くと、場合によっては10年以上、拘置所に収監されていることもあるはずである。刑務所における強制労働がないぶん、彼らは暇をもて余すにちがいないと想像するが、彼らはどのようにして有り余る時間を過ごすのだろう?

そんな未決囚の有り様は、必ずしも働かなくても生きていける人間の姿を連想させる。もしも、働かなくてもよいなら、人間は何をして毎日を過ごすのだろう?   もちろん、一般人は旅行という楽しみがあるが、ある場所から外へは出られないとしたら?   いろいろあるにちがいないが、やはり読書というものが一番になるのではないか。それは個室で行うことができる乗り物を使わない一種の旅行に他ならないのだから。本作の収監者は絵を描く。

※「壁の向こうの友人」の一場面。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
サンモールスタジオプロデュース
『Crime-2nd-』~贖罪編~

■2020年8月26日(水)~8月31日(月)
■@サンモールスタジオ

ISAWO BOOKSTORE
「壁の向こうの友人―名古屋保険金殺人事件―」
作・演出:高橋いさを

■出演
板垣雄亮
若松力
林田航平

以下のURLからご予約を承ります。ご来場を心よりお待ち申し上げます。

■予約状況
【劇場観劇】
26日(水)19時半終了
27日(木)19時半終了
28日(金)14時半終了/19時半終了
29日(土)13時完売/18時○
30日(日)13時◎/18時◎
31日(月)14時半◎
○余裕あり◎お勧め