《ブラジルのジャイール・ボルソナロ大統領は、新型コロナウイルス感染は「ちょっとした風邪」にすぎないと一蹴し、国民に働いて経済を動かし続けるよう呼びかけている。ロックダウン(都市封鎖)にも反対で、自らの支持者に対してその理由をこう言った。「私たちはみな、どうせ死ぬのだ」》(「NewsWeek」より)

このご時世、ウイルス感染をめぐり様々な人々が様々な意見を述べるが、一国の代表が「私たちはみな、どうせ死ぬのだ」と発言することは相当にインパクトがある。ここまで極端だと、ある種の清々(すがすが)しささえ感じる。「私たちはみな、どうせ死ぬのだ。だから、危険を省みずどんどん働いてくれ!」と言われれば、「あんたは原発事故処理を請け負った廃棄業者か!」と突っ込みたくなる。しかし、ブラジル国民が自分たちの国の代表たる大統領のこの方策に「そうだ、俺たちはみなどうせ死ぬんだ!」と同意して危険を省みず働くとするなら、それはそれで一つの方法だと思う。乱暴すぎる言い方だとは思うが、「ちょっとした風邪」はともかく、「私たちはみな、どうせ死ぬのだ」という点に関してボルソナロ大統領は真実を述べている。ところで、ボルソナロ大統領とはいったいどういう人物か?

●ジャイール・ボルソナロ大統領
1955年生まれ。政治的立場は、一般的には「極右」として分類される。1964年のカステロ・ブランコ将軍による軍事独裁政権を支持し、超国家主義と保守的な政治スタンスで有名になり、拷問の法的正当化、LGBTの権利に対する反対、およびその他の論争をよぶ発言から、約30件近い告訴と3件の判決をうけた。「ブラジルのトランプ」、「ブラジルのドゥテルテ」、「トロピカル・トランプ(熱帯のトランプ)」と呼ばれている。自身は3回結婚し、5人の子供を持つ。(「Wikipedia」より)

こんなプロフィールから想像できるのは、相当に戦闘的な生き方をしてきた人だということだろうか。ボルソナロ大統領の言葉にブラジル国民はいったいどのようにリアクションするのだろう?   

※ボルソナロ大統領。(「NewsWeek」より)