DVDで「ハンターキラー 潜航せよ」(2018年)を見る。潜水艦を主舞台とした海洋アクション映画である。わたしが最後に見た潜水艦映画は「U-571」(2000年)だったように思うので、ずいぶん久しぶりである。

ロシアでクーデターが起こり、アメリカの潜水艦が撃沈される。アメリカ政府は反乱軍の本部があるロシア海軍基地へ原子力潜水艦”アーカンソー”を出動させる。同時に当地に送られた空軍の精鋭部隊は、”アーカンソー”と連携して、反乱軍に捕らえれたロシア大統領の救出へ向かう。果たして、大統領救出の成否は?

アメリカ軍とロシア軍が協力して反乱軍から大統領を奪還するという物語が主軸となるが、アメリカの艦長(ジェラルド・バトラー)とロシアの艦長(ミカエル・ニクヴィスト)が協力し合って敵に立ち向かうという点がユニークである。ちょっと似たような趣向の映画に「レッド・オクトーバーを追え!」(1990年)があるが、こちらはこちらで工夫ある設定だと思う。

ところで、わたしが見た現代の潜水艦映画は「クリムゾン・タイド」(1995年)だと思うが、やはり多いのは第二次大戦下を舞台にしたものである。例えば、それは「眼下の敵」(1957年)や「U・ボート」(1981年)だったりするのだが、現代を舞台に描かれる本作の戦闘場面はやはり一味違う。旧来の潜水艦映画で、潜水艦が苦しめられるのは海上にいる敵の駆逐艦の甲板から投棄される爆雷(ドラム缶状)攻撃だが、本作におけるそれはずいぶんと進化している。何と呼ばれる兵器か知らないが、束になった筒状の発射口からいっぺんに何発ものロケット弾が空中に発射され、それが海面に突き刺さるように落下して潜水艦を狙うのである。そんな兵器を初めて見たので、わたしの少年心は刺激され感嘆した。

映画の内容とはまったく関係ないが、ジェラルド・バトラー扮する潜水艦の艦長の冷静沈着な態度を目の当たりにして、舞台演出家も一種の潜水艦の艦長のようなものだという感想を持った。よい演出家はよい潜水艦の艦長同様に敵の攻撃をかわし、カンパニー(潜水艦)をよりよい方向へ導かなければならないのだから。

※同作。(「Y!映画」より)