最近、ナチス・ドイツ関係の映画ばかり見ているが、改めてナチス・ドイツの親衛隊(SS)の軍服は格好いいなあと思う。人類史上、ナチス・ドイツが行ったことは強く非難されてしかるべきことだが、今日は行ったことの話ではなく服装の話である。

※親衛隊の軍服。(「ZUGEM」より)

いかがだろうか?   ダーク・グリーンを基調にした制服。帽子と襟元とベルトには黒を配色してアクセントをつけている。足元は膝まである黒いブーツ。「威厳」という観念をビジュアルにするとこういうことになるのではないかと思わせるすぐれたデザインである。逞しい骨格を持ち、上背があり、手足が長いアングロサクソンの男性がこれを着ると、物凄く素敵に見えると思う。大戦当時、こんなナチス・ドイツの親衛隊の軍服に痺れた女性や少年は数多くいたのではないかと想像する。映画の中では、ナチス・ドイツの親衛隊は専ら悪役を務めることが多いが、その出で立ちの格好よさは他の国の軍服のそれを凌駕する魅力に溢れているように思う。

もともと、人間は制服に弱いものである。わたしたちがその人を信頼する第一の要因はその人の服装である。病院に白衣を着た人がいたらとりあえずその人を医者か看護師だと思うだろうし、交番に制服を着た人がいたらとりあえずその人を警官だと思うだろう。制服は人を欺くのである。だから、すぐれた詐欺師はそのへんの人間心理をきちんと踏まえて仕事をすると思う。同じような意味において、アドルフ・ヒトラー(あるいは腹心のヨーゼフ・ゲッベルス)はそのへんに手抜かりはなかったということであろう。こんな格好よい軍服を着た人間には服従するしかないと思わせる迫力が親衛隊の服装にはあるように思う。

アドルフ・ヒトラーはもともとは画家志望の経歴を持つ。つまり、若い頃に芸術的なセンスを培った人である。親衛隊の軍服のデザインにもヒトラーの意向が反映しているのではないか。