第11回を迎えるヴィクトリアマイル。
春の牝馬によるG1競走としてマイルの距離で施行され、ダンスインザムード、ウオッカ、ブエナビスタ、アパパネ、ホエールキャプチャ、ヴィルシーナ、牝馬クラシックで活躍した多くの名牝が勝利し、その輝きを新たにしたレースだ。
桜花賞不出走、オークス・秋華賞を制した、2015年牝馬クラシックの『女王』ミッキークイーン。
父ディープインパクト、母ミュージカルウェイはフランス産の繁殖牝馬。
ジャパンカップ8着以外は8戦4勝、2着4回。牝馬同士では無類の安定感を誇っていた。
古馬となって、さらなる強い牝馬をめざし、牝馬G1奪取へ。
鞍上・浜中俊とともに飛躍を誓う。
3歳時は秋華賞を獲ったショウナンパンドラ。
父ディープインパクト、母キューティゴールド。伯父はステイゴールド。
オークス馬ヌーヴォレコルトを打ち破っての秋華賞勝利。
エリザベス女王杯6着、産経大阪杯9着、ヴィクトリアマイル8着、秋華賞馬の名に翳りが見えた宝塚記念を11番人気3着に入り、復活の兆し。
天皇賞秋4着を経て、ジャパンカップでは大外一気に差し込んでG1制覇。
秋華賞勝ちを超える輝きを見せた。
5歳になって、4月、産経大阪杯3着。+14㌔の馬体重で出走、2走目となるヴィクトリアマイルで3度目の輝きを見せるか!
2013年、秋華賞2着スマートレイアー。
父ディープインパクト、母スノースタイル。
4戦3勝、『遅れてきたディープインパクト産駒』として評判も、秋華賞はメイショウマンボに及ばず2着。
古馬になればG1制覇を・・・・・・期待されるが、ヴィクトリアマイル8,10着、エリザベス女王杯10,5着。
脚質を追込みから先行へ転換、6歳になり2月・東京新聞杯、4月・阪神牝馬Sを逃げ切り連勝。
『新生』スマートレイアーとして臨む3度目のヴィクトリアマイル。
桜花賞1番人気9着、オークス1番人気2着、ルージュバック。
父マンハッタンカフェ、母ジンジャーパンチ。
新馬戦から3連勝できさらぎ賞を勝った時は、断然牝馬№1といわれた。
単勝1.6倍で臨んだ桜花賞は超スローペースにハマり、まさかのレッツゴードンキの9着。
リベンジなったと思ったオークスは、直線、ミッキークイーンに差され2着。
エリザベス女王杯4着、有馬記念10着。
仕切り直しの4歳は、3月、始動戦の中山牝馬Sをシュンドルボンにクビ差2着。
強敵ぞろいの各世代牝馬相手に、勝ってこそ輝きはより大きなものとなるッ。
桜花賞4着、4オークス9着、秋華賞2着、クイーンズリング4歳。京都牝馬Sを勝ちここに挑戦。
牝馬クラシックはオークス、ヌーヴォレコルトの13着も、京都牝馬S2着、ダービー卿チャレンジトロフィー1着と力をつけた5歳マジックタイム。
超スローペスの桜花賞、逃げ切り勝ちのレッツゴードンキ。オークス10着、秋華賞17着。マイルで復活の輝きを見せるか!
牝馬クラシック経験なし。4歳にスプリント戦で活路を開いたストレイトガール、7歳。
父フジキセキ、母ネヴァーピリオド。祖母フューチャハッピー。
『ネヴァーピリオド=諦めなければ、フューチャハッピー=未来はしあわせ』ということか。
11戦2勝、2着1回。負けても負けても1200m戦を中心に走り続けたストレイトガール。
4歳6月、目覚めたように走り出した。2,1,1,1,1,2,1,1着。
5歳、自信をもって臨んだ高松宮記念は3着。ヴィクトリアマイル3着、スプリンターズS2着、香港スプリント3着。
6歳になって高松宮記念13着。夢は潰えた、か?
それでも・・・・・・ヴィクトリアマイルに挑戦。得意とはいえない距離で1着、ついに果たしたG1制覇。
秋にはスプリンターズSを勝ち、念願の『スプリント女王』に。
暮れの香港スプリント9着、7歳となり、4月・阪神牝馬S9着。
母になることを延ばしてまでも走るストレイトガール。
敵は、手強すぎるか?
5月15日、ヴィクトリアマイル。
1.ウインプリメーラ
2.スマートレイアー
3.シャルール
4.ウリウリ
5.レッドリヴェール
6.マジックタイム
7.ルージュバック
8.メイショウマンボ
9.カフェブリリアント
10.ミッキークイーン
11.レッツゴードンキ
12.クイーンズリング
13.ストレイトガール
14.ウキヨノカゼ
15.ショウナンパンドラ
16.シュンドルボン
17.トーセンビクトリー
18.ショウナンアデラ
1番人気ミッキークイーン、2番人気ショウナンパンドラ、3番人気スマートレイアー。
4番人気ルージュバック、5番人気クイーンズリング。
横一線のスタート。
内から飛び出したのはレッドリヴェール、スマートレイアー。
シャルール、ウインプリメーラが追いかける展開。
一気に4頭を交わして先頭に立ったのは、カフェブリリアントだ。
後方から上がって来たのはトーセンビクトリー。
ルージュバック、マジックタイムが続き、
中団にレッツゴードンキ、ウリウリ。
中団後方にストレイトガール、クイーンズリング。
ミッキークイーン、ショウナンパンドラが控えた。
後方、シュンドルボン、メイショウマンボ。
ばぐんからばらけてショウナンアデラ、
最後方がウキヨノカゼだった。
3ハロン、33秒8。ハイペース。
4コーナーを2馬身差をもって回ったカフェブリリアント。
直線に入り、内からレッドリヴェール、外から芦毛馬スマートレイアー・武豊が並んで来る!
ひときわ目立つ、真っ白になったスマートレイアー!
馬場の6分どころを先頭に出る勢い。
その時だ!
ポッカリ空いたスマートレイアーの内を、凄まじい勢いで突き進んできた!
ストレイトガール・戸崎圭太だ!
諦めない心。
7歳となっても、7番人気となっても、ディフェンディングチャンピオン。
いまだない7歳牝馬のG1制覇。
抜け出したストレイトガールは、真一文字にゴールをめざした!
2番手を踏ん張るスマートレイアー。
ストレイトガールのあとを追うように内から差し抜いて行くのはミッキークイーン・浜中俊だ!
大外を猛烈な勢いで追い込んでくるのはショウナンパンドラ・池添謙一!
ルージュバック・ルメールも差し込んでくるが、勢いが足りない。
世代の『女王』たちの戦い。
7歳、ストレイトガールの切れ味には、誰も追いつけなかった。
2馬身半、
1分31秒5、レースレコードでストレイトガールはゴールを突っ切った。
1着ストレイトガール
2着ミッキークイーン
3着ショウナンパンドラ
4着ルージュバック
5着スマートレイアー
ストレイトガール、ショウナンパンドラはこのレースを最後に引退となった。
ストレイトガールは海を渡り、イギリスで繁殖牝馬に。ショウナンパンドラはノーザンファームで繁殖に。
楽しみは、母に似た仔らの、やがてターフを走る姿。
(つづく)