圧倒的人気のメジャーエンブレムが敗れた桜花賞。
ジュエラー、シンハライトの大接戦。新種牡馬となったヴィクトワールピサ産駒ジュエラーの勝利。桜花賞で圧倒的強さを見せるディープインパクト産駒シンハライトは、ハナ差2着。
皐月賞に舞台を移し、種牡馬の戦いもより激しくなる。
2010年、2011年とリーディングを獲ったキングカメハメハ。
2010年に産駒2歳馬がデビュー。2011年では、いきなりリーディング2位となったディープインパクト。
2012年以降は、1位ディープインパクト、2位キングカメハメハ、不動の順位が続いている。
非サンデー系の良血牝馬の圧倒的受け皿となるディープインパクト。誰もが認めとめざるを得ない、サンデーサイレンスの代表後継種牡馬となった。
対する非サンデー種牡馬キングカメハメハは、牝馬戦線で良績を残したサンデー系繁殖牝馬を中心に、ディープインパクトとは対照的な種付け傾向にあり、まさに、真逆の種牡馬。
14戦12勝、2着1回。競馬を知らない人でもその名を知るというディープインパクト。
8戦7勝、3着1回。NHKマイルカップ、ダービー『変則2冠』を獲り、古馬相手に天皇賞秋に挑戦する前に屈腱炎で引退したキングカメハメハ。
2001年生まれのキングカメハメハ、2002年生まれのディープインパクト。
ともに戦うことがなかったことは、競馬ファンとしては残念至極。
競馬は、決してタイムの勝負ではない。それはわかっている。
だが、
2004年、ダービー、2分23秒3。優勝馬キングカメハメハ。
2005年、ダービー、2分23秒3。優勝馬ディープインパクト。
果たせなかった『夢の対決』が、種牡馬として、産駒同士の戦いとなっているのか!
ディープインパクト産駒、2億4千万円の馬サトノダイヤモンド。
栗東、ディープインパクトを育てた池江泰郎師から厩舎を引き継いだ池江泰寿厩舎。
新馬戦からクリストフ・ルメールが乗り、育んだ。視線の先はクラシック制覇。
2歳新馬戦、同じ2億5千万円のディープ産駒評判馬ロイカバードを相手に、2馬身半差の完勝。
続く500万下条件は2着馬に3馬身半差の圧勝。
3歳となって、2月、きさらぎ賞。単勝1.2倍、圧倒的1番人気に応えてに2着レブランシュに3馬身半の差をつけた。クビ差3着がロイカバード。
好位、中団につけ、勝負所で進出、直線抜け出し。
揺るぎない安定感あるレースぶりで皐月賞『1冠』制覇に臨む。
朝日杯フューチュリティSを制したキングカメハメハ産駒はリオンディーズだ。
母は6戦5勝、2着2回。桜花賞2着、オークス1着、招待されたアメリカンオークスを制した。名牝シーザリオ。
サンデーサイレンス産駒スペシャルウィークが父のため、産駒はキングカメハメハ、シンボリクリスエスと非サンデー種牡馬。シンボリクリスエス産駒のエピファネイアは皐月賞2着、ダービー2着、菊花賞1着。古馬になってジャパンカップを制した名馬。
新馬勝ち即、朝日杯フューチュリティSを制し『2歳チャンプ』となったリオンディーズは、半兄エピファネイア以上の逸材か!といわれ、皐月賞トライアル・弥生賞に登場。
マカヒキの直線一気の強襲にクビ差2着と敗れたが、皐月賞でのリベンジを誓った。
鞍上は、ルメールとともに日本の競馬を席巻するミルコ・デムーロ。
弥生賞でリオンディーズを破り、一躍全国区となったのは、ディープインパクト産駒マカヒキ。
全姉に短距離重賞で活躍するウリウリ。
デビューから1800m・2000mを走るマカヒキに距離の不安はない。
新馬戦・若駒S・弥生賞と3連勝。3戦すべて最速の上がりと、ディープインパクト産駒特有の瞬発力で、『皐月賞獲り』に出た。
デムーロ、ルメール、ルメールと乗ってきた鞍上は、関西のリーディング上位となった川田将雅となったに乗り替わってきた。
単勝2.7倍サトノダイヤモンド、2.8倍リオンディーズ、3.7倍マカヒキ。
揺るぎそうにない3頭の牙城を崩さんとするのは、キングカメハメハ産駒エアスピネルだ。
母エアメサイアは桜花賞4着、オークス2着、秋華賞1着で載冠を果たしたサンデーサイレンス産駒。
新馬戦、デイリー杯2歳Sを勝ち、朝日杯フューチュリティSで1番人気2着。
リオンディーズにG1制覇を阻まれ、弥生賞もマカヒキ、リオンディーズに及ばず3着に敗れた。
素質では決して負けてはいない。
『3強』の壁をぶち破るッ。
鞍上・武豊とともに、思いは強かった。
新潟2歳Sを制し、スプリングS1番人気3着。末脚勝負にかけるのはマツリダゴッホ産駒ロードクエスト。
スプリングSを勝って未勝利勝ちから3連勝は、ディープインパクト産駒マウントロブソン。
同じく未勝利勝ちから3連勝、若葉Sを勝って臨むディープインパクト産駒はアドマイヤダイオウ。
マウントロブソン、アドマイヤダイオウとともに、侮れぬディープインパクト産駒3頭にあげられたのがディーマジェスティだ。
新馬戦2着、未勝利戦2着のあと未勝利戦勝ち。
2月、共同通信杯は6番人気だったが、後方一気の差し切り勝ち。
断然の1番人気ハートレーが9着惨敗。2着5番人気イモータル、3着3番人気メートルダールから、共同通信杯勝ちも高く評価されることはなかった。
4月17日、皐月賞。
1.ドレッドノータス
2.ジョルジュサンク
3.マカヒキ
4.アドマイヤダイオウ
5.マウントロブソン
6.ミライヘノツバサ
7.ウムブルフ
8.ミッキーロケット
9.ナムラシングン
10.トーアライジン
11.サトノダイヤモンド
12.リスペクトアース
13.プロフェット
14.ロードクエスト
15.エアスピネル
16.リオンディーズ
17.アドマイヤモラール
18.ディーマジェスティ
1番人気サトノダイヤモンド、2番人気リオンディーズ、3番人気マカヒキ。
4番人気エアスピネル、5番人気ロードクエスト。
4番人気エアスピネルで16.1倍、5番人気ロードクエスト21.8倍。
マウントロブソン25.9倍、アドマイヤダイオウ27.4倍、ディーマジェスティ30.9倍と続くオッズ。完璧な『3強』対決と見られていた。
スタート飛び出したのはジュルジュサンクだったが、外からリスペクトアースが交わして行き、続いて上がっていたのはリオンディーズだった。
1,2コーナーを回って先頭に立つリスペクトアース。
2馬身差の2番手にリオンディーズ。
アオマイヤモラール、マウントロブソンが上がって行き、5番手に下げたのがジョルジュサンク。
その後ろにエアスピネルがつけ、中団が3馬身開いた。
先団から離れた中団にアドマイヤダイオウがつけ、内にドレッドノータスが追走。
その後ろ、外を行くのがサトノダイヤモンドだ。
縦長の展開、後方5頭目から上がって行くのはディーマジェスティ。
その後ろにいるのがマカヒキだ。
最後方にポツンとトーアライジン。
1000m通過、58秒4。完全なハイペースだ!
ペースは緩まずリスペクトアースの逃げは3コーナーで潰れ、
先頭に立ったリオンディーズ。
エアスピネルが並びかけるように迫り、もう、後に引けぬリオンディーズ。
デムーロは先頭に立ち、果敢に17頭をリードした!
4コーナー、リオンディーズ、エアスピネル先団を追って、
ナムラシングン、ロードクエスト、アドマイヤダイオウ、サトノダイヤモンド、
2列目、追い上げグループが横に大きく広がった。
逃げ込むか!リオンディーズ、エアスピネル・武豊。
直線、激しい叩き合い。
内から迫るのはマウントロブソン、外からは、サトノダイヤモンド・ルメールだ!
前の2頭を交わせば・・・・・・ルメールは懸命に手綱を押した!
ゴールまで100m。
サトノダイヤモンド・ルメールは、外に衝撃を感じた。
まさに、疾風。
一気に交わし去って行く馬、
ディーマジェスティだッ!
新馬戦2着の時だけ、ルメールが手綱を取ったディーマジェスティ。
蛯名正義に教えられ成長したディープインパクト産駒が、鮮やかに、見事に強敵を抜き去って行った。
死力を尽くして競り合うリオンディーズ、エアスピネル。
追い越せば、勝てると信じたサトノダイヤモンド。
次元の違う切れ味で、ディーマジェスティは先頭に立って、さらに差を開いた!
もう1頭、次元の違う末脚でディーマジェスティを追いかけた!
マカヒキだ!
川田将雅が、溜めに溜めて繰り出した末脚。
サトノダイヤモンドをリオンディーズをエアスピネルを、
一気に抜き去り、追ったディーマジェスティ。
だが、勢いは及ばなかった。
1分57秒9、レコードでゴールを駆け抜けたのは、
話題に上らなかったディープインパクト産駒、ディーマジェスティだった。
ディープインパクト産駒マカヒキ、サトノダイヤモンドを超えた・・・・・・皐月賞馬ディーマジェスティ。
1着ディープマジェスティ
1馬身4分の1
2着マカヒキ
1馬身4分の1
3着サトノダイヤモンド
半馬身+ハナ
4着エアスピネル
(-ハナ)
5着リオンディーズ(4位入線降着)
(つづく)