皐月賞を後方一気の差し脚で完勝したドゥラメンテ。
ダービーで狙うのは、当然、『2冠』。
その先にあるのは、ディープインパクト、オルフェーヴルに続く『3冠馬』の称号か?
父キングカメハメハ、母アドマイヤグルーヴ(エリザベス女王杯連覇)。母父サンデーサイレンス。
祖母は『女帝』エアグルーヴ(オークス・天皇賞秋優勝)。曾祖母ダイナカールはオークス馬。
母娘3代に亘る大レース制覇を成した牝系に、ノーザンテースト、トニービン、サンデーサイレンス、キングカメハメハ、日本を代表する種牡馬が散りばめられ、ドゥラメンテへの期待は生まれた時から高く大きかった。
ドゥラメンテを3月に出産、10月に死亡した母アドマイヤグルーヴ。
アドマイヤグルーヴ最後の仔となったドゥラメンテには、母たちのつくり上げた素晴らしい牝系の戦歴を受け継ぐ、使命感をももたらされた。
新馬戦2着、未勝利戦1着、セントポーリア賞(500万下)1着、共同通信杯(G3)2着。
底を見せない素質も、賞金順で皐月賞出走が危ぶまれた。
大目標はダービー。『馬優先』から、たとえ皐月賞出走が叶わなくともトライアルを使うことをしなかった陣営。
数頭の回避馬によって出走は可能となり、見事に制した皐月賞。
陣営の大英断が実り、万全の態勢でダービーへ臨むこととなったドゥラメンテ。
素晴らしい『血』の結集を体内に収め、ダービーで爆発させるしかない!
ディープインパクト産駒の世代代表馬となるべきリアルスティール。
共同通信杯では、新馬勝ち即重賞参戦でドゥラメンテを打ち破り、ドゥラメンテ最大のライバルとなった。
皐月賞では好位から抜け出し、勝利を意識した瞬間にドゥラメンテの豪脚に屈した。
後方一気に差され、置き去りにされた1馬身半。
ダービーで挽回する秘策はあるのか?
弥生賞を勝ち3戦3勝。皐月賞1番人気となったサトノクラウン。
父マルジュ、母ジョコンダⅡ。非サンデーのヨーロッパ血統。
ルメール騎乗で、まさかの末脚不発、6着に敗れた。
素質馬を輩出しながら、いまだ『頂き』に到達しない『サトノ』軍団。
ダービーこそ、リベンジだ!
レーヴドスカーから始まる『夢一族』のレーヴミストラル。
レーヴダムール、アプレザンレーヴ、レーヴドリアン、レーヴディソール。期待されながらも、脚元の故障で早くに競走世界から引退する馬が多かった。
そんな中、3戦3勝で阪神ジュベナイルフィリーズを制覇。『夢一族』初のG1馬となったレーヴディソールも以後、故障に泣いて6戦4勝で引退。
キングカメハメハを父に持つレーヴミストラル(見事な夢)。託されたのはクラシックの夢か?
4,2着後、未勝利戦・アザレア賞(500万下)・青葉賞(G2)と3連勝。
ダービーと同じ東京・2400m勝ちは、大きなアドバンテージと見られた。
『サトノ』軍団のディープインパクト産駒サトノラーゼン。
新馬戦から京都新聞杯まで9戦3勝、2着3回、3着3回。
崩れを知らない堅実馬。
初の一線級との対戦も、物おじしない気迫で押し切るか!
皐月賞3着も母父サクラバクシンオー、人気を落とし気味のキタサンブラック。
青葉賞、レーヴミストラル残り2着から参戦はタンタアレグリア。
ドゥラメンテと同じ祖母エアグルーヴ。従兄弟関係にあるディープインパクト産駒はポルトドートウィユ。
5月31日、ダービー。
1.サオノラーゼン
2.タンタアレグリア
3.コメート
4.グァンチャーレ
5.ダノンメジャー
6.ポルトドートウィユ
7.レーヴミストラル
8.ベルラップ
9.コスモナインボール
10.ミュゼエイリアン
11.サトノクラウン
12.アダムスブリッジ
13.リアルスティール
14.ドゥラメンテ
15.ミュゼスルタン
16.スピリッツミノル
17.キタサンブラック
18.タガノエスプレッソ
1番人気ドゥラメンテ、2番人気リアルスティール、3番人気サトノクラウン。
4番人気レーヴミストラル、5番人気サトノラーゼン。
馬場の真ん中からミュゼエイリアンが飛び出し、ハナを切る展開。
外、ピンク帽キタサンブラック、タガノエスプレッソが行く。
内からはコメート。速い流れで最初の1コーナーをめざした。
2コーナーを回って、完全に先頭となったのは、ミュゼエイリアン。
キタサンブラックが2番手。
3番手スピリッツミノルが上がり、コメート、タガノエスプレッソと続く好位。
ベルラップと続き、早め、中団につけたドゥラメンテ。
デムーロは正攻法でダービー獲りに出た。
内でピッタリ貼り付くのはサトノラーゼン・岩田康誠。
ベルラップ、レーヴミストラルと続き、その後ろ、今回は後方から行くのがリアルスティール・福永祐一だ。
その後ろにはサトノクラウン。
ミュゼスルタン、タンタアレグリアと続き、
最後方がポルトドートウィユだ。
1000m通過58秒8。ハイペースも高速馬場、平均ペースか?
果敢に先頭を切ったまま直線に入ったミュゼエイリアン。
外から並びかけようとするキタサンブラック。
その外、内から外に持ち出したコメート・嘉藤貴行が先頭に出ようと勝負をかけた時、
外からアッという間に先頭に立ったのは、ドゥラメンテだ!
中団から3,4コーナーでジワッと先団を射程圏に入れ、前の2頭がバテるや、一気に先頭に躍り出た!
ミルコ・デムーロの会心騎乗。
ずっとマークしていたサトノラーゼン・岩田康誠が懸命に食い下がるが、
ドゥラメンテの末脚は揺るがない。
大外からリベンジめざして伸びるサトノクラウン・ルメール!
内から馬群を割って追い上げるリアルスティール・福永祐一!
懸命のライバルの追撃も、
まったく通じないッ。
サトノラーゼンを1馬身4分の3、突き放して『2冠』達成!
ドゥラメンテは・・・・・・『王者』の道を走り出した。
1着ドゥラメンテ
1馬身4分の3
2着サトノラーゼン
ハナ
3着サトノクラウン
2馬身
4着リアルスティール
4分の3馬身
5着コメート
(つづく)