ジャパンカップをウオッカが勝利。
 
シンボリルドルフ、テイエムオペラオー、ディープインパクトに並ぶG1・7勝を上げた。

そして、翌週に行われるジャパンカップダート。
 
世界の強豪が集まるはずのジャパンカップダート。
 
強力外国馬の参戦はなく、外国馬が勝ったのは、施行9年にして2003年のストリートダンサーただ1頭だった。
 
世界のダート主流アメリカは、ほとんどが右回り。前年、2008年から右回り・阪神競馬場、距離も1800mと変更されたが、相変わらず世界から強豪の参加は得られていない。
 
そうとはいえ、国内ダートG1のなかで、フェブラリーSとともに最高峰といえるのがジャパンカップダートだ。
 
 
ジャパンカップダート、フェブラリーSを連覇し、4歳春で『ダート王』として君臨したカネヒキリは、屈腱炎から2年4カ月ぶりに復帰。
 
前年のジャパンカップダートで復活Ⅴを果たした。
 
東京大賞典1着、川崎記念1着でダートG1・7勝。
奇跡の再始動を見せたカネヒキリだったが、フェブラリーS3着、かしわ記念2着のあと、左第3指骨骨折。
 
再びの戦列離脱となった。
 
 
 
カネヒキリと同期、ヴァーミリアン。
 
ダイワメジャー、ダイワスカーレットと同じスカーレットインクの牝系。
 
ラジオたんぱ杯2歳Sを勝ち、芝重賞制覇も皐月賞12着、京都新聞杯12着、神戸新聞杯10着でダート転向。
 
屈腱炎休養のカネヒキリと入れ替わるようにダートG1を勝ち始め、2007年ジャパンカップダート優勝、2008年フェブラリーS優勝。ダート界に君臨した。
 
カネヒキリが復活したジャパンカップダートは3着、この年のフェブラリーSは6着。対カネヒキリは0勝4敗。やはり、カネヒキリには勝てないヴァーミリアン。
 
6月・帝王賞1着、11月・JBCクラシック1着。地方G1・8勝目を上げ、記録ではカネヒキリを追い抜き、平地G1競走最多勝利馬となった。
 
カネヒキリのいないジャパンカップダート。カネヒキリのためにも、勝たねばならない。
 
 
 
 
7歳ヴァーミリアンに『世代交代』を宣言するか?4歳エスポワールシチー。
 
父はサンデーサイレンス産駒の『ダート王』ゴールドアリュール。

芝7戦1勝からダートに変更、4連勝。
 
4歳になり平安S2着のあと、初G1挑戦のフェブラリーSは4着だったが、手応えはつかんだ。
 
3月・マーチS1着、重賞初勝利。
 
5月・かしわ記念1着。カネヒキリを破りG1初制覇。
 
10月・マイルチャンピオンシップ南部杯1着。フェブラリーSの覇者サクセスブロッケンを4馬身ちぎり、G1・2勝目。
 
競りかける馬はぶっ潰す快速逃げで、高らかに『世代交代』を宣言するか!
 
 
 
 
フェブラリーSを制し『世代交代』の先駆けとなった4歳サクセスブロッケン。
 
フェブラリーSのあと、調整に手間取り8カ月ぶりのマイルチャンピオンシップ南部杯では、エスポワールシチーに引き離された2着。
 
武蔵野Sでは、1番人気を大きく裏切る10着と惨敗。
 
たとえ、万全でなくともフェブラリーSの覇者としての誇り・・・・・・、サクセスブロッケンには新馬戦から5戦全勝で世代をリードしてきた自負もあった。
 
 
 
 
ワンダーアキュート、シルクメビウス、ラヴェリータ、スーニ、ゴールデンチケット、5頭が出走してきた3歳馬。
 
より若き『世代交代』を目論む3歳馬。なかでも注目されたのがワンダーアキュートだ。
 
 
新馬戦7番人気1着も、7,6,1,10,1,5,5着。人気は8,6,7,16,9,5,8番人気。世代を代表するほどの期待は持たれなかったワンダーアキュート。
 
9月・オークランドRCT(1600万下)1着、10月・シリウスS(G3)1着、11月・武蔵野S(G2)1着。
 
瞬く間の3連勝でジャパンカップダート有力候補にのし上がった。
 
 
 
 
3歳ダート戦線でユニコーンS(G3)を勝ち、3歳G1・ジャパンダートダービー2着。3歳エリートがシルクメビウスだ。
 
初めての古馬との対戦、武蔵野Sは8着と敗れたが、トパーズS(オープン)を勝利。
 
ジャパンカップダートへ、後方一気の切れ味で臨む。
 
 
 
関東オークス、スパーキングレディを制した、『紅一点』牝馬ラヴェリータ。
 
 
2歳時は4戦4勝で全日本2歳優駿(G1)を制したスーニ。11月にはJBCスプリントでG1・2勝目を上げた。
 
 
キングカメハメハ産駒。祖母がスキーパラダイスという芝の良血ゴールデンチケット。皐月賞11着、ダービー7着。
 
ダートは5戦2勝、2着1回、3着2回。ジャパンダートダービー3着。ダートで飛躍するか?
 
 
 
 
世代を守るか!7歳メイショウトウコン。前年、ジャパンカップダート2着馬。
 
 
ワンダーアキュートの半兄、7歳ワンダースピード。重賞4勝の実力で兄弟対決。
 
 
 
 
12月6日、ジャパンカップダート。
 
1.エスポワールシチー
2.サクセスブロッケン
3.アドマイヤスバル
4.ヴァーミリアン
5.マコトスパルビエロ
6.メイショウトウコン
7.ティズウェイ
8.ダイショウジェット
9.ゴールデンチケット
10.ボンネビルレコード
11.ラヴェリータ
12.シルクメビウス
13.スーニ
14.ワンダースピード
15.マルブツリード
16.ワンダーアキュート
 
 
1番人気エスポワールシチー、2番人気ヴァーミリアン、3番人気ワンダーアキュート。
 
4番人気サクセスブロッケン、5番人気シルクメビウス。
 
 
スタート後、内からエスポワールシチー、サクセスブロッケン、アドマイヤスバル、ヴァーミリアン、横に広がった先行争い。
 
中から、唯一の外国参加馬ティズウェイが加わった。
 
外からはワンダースピード、ワンダーアキュート兄妹も前に上がる。
 
 
 
中央G1の大一番。決してハナには立ちたくなかったエスポワールシチー鞍上・佐藤哲三。
 
最内枠、包まれることは避けたかった。前に行くしかない、か?
 
 
それよりも、エスポワールシチー自身が、ハナを譲らないッ。
 
コーナーで、強引に競りかけようとした外国馬ティズウェイを振り切って先頭に立った。
 
 
2コーナーを回って、敢然とハナを切るエスポワールシチー。
 
2番手追走はティズウェイ。
 
3番手がサクセスブロッケンだ。
 
ひと塊になる好位集団。
 
 
外から上がるワンダースピード、すぐ後ろを追っかけるのは弟、ワンダーアキュートだ。
 
ヴァーミリアン、アドマイヤスバル、ひしめく馬群。
 
 
中団につけたのは、マコトスパルビエロ、ダイショウジェット。
 
その後方にゴールデンチケット、スーニ。
 
 
後方3頭目に並ぶシルクメビウス、ラヴェリータ。
 
最後方から行くのは、末脚にかけるメイショウトウコンだ。
 
 
 
1000m通過60秒7。
 
芝並みのスピードで逃げるエスポワールシチー。
 
 
強豪そろうジャパンカップでハイペースで逃げるエスポワールシチー。
 
 
これで逃げ切るというのか?
 
 
向こう正面からマコトスパルビエロが一気に進出、2番手まで上がった!
 
 
3コーナー、追撃の流れが激流になり、ティズウェイは下がり始め、
 
内から2番手喰らいつくのはサクセスブロッケン。
 
外、外を、ワンダースピード、兄に導かれてワンダーアキュートが追いかける。
 
 
 
直線に入った!
 
ナント!
 
差を開いたのは、エスポワールシチーだ!
 
 
あのスピードで逃げて、直線にまだ、爆発力を残していた!
 
 
3馬身、4馬身、後続を引き離すエスポワールシチー。
 
 
懸命に2番手を死守するサクセスブロッケン。
 
 
ヴァーミリアンは伸びを失って、馬群の中。
 
 
兄ワンダースピードの脚が止まり、大外から、伸びようとする弟ワンダーアキュートも、脚が鈍った。
 
 
追いかけるものを地獄に突き落とすエスポワールシチーのスピード。
 
後方一気に差してきたのは3歳馬シルクメビウス!
 
さらに、同じ3歳馬ゴールデンチケット12番人気だ!
 
 
サクセスブロッケンを交わし、エスポワールシチーに迫ろうとするシルクメビウス。
 
サクセスブロッケンに迫ろうとするゴールデンチケット。
 
 
3歳馬の猛追!
 
 
エスポワールシチーの相手ではなかった。
 
 
3馬身半、
 
 
余裕のリードを保って、
 
エスポワールシチーは『ダート王』の扉を開いた。
 
 
1着エスポワールシチー
3馬身半
2着シルクメビウス
1馬身4分の1
3着ゴールデンチケット
クビ
4着サクセスブロッケン
ハナ
5着アドマイヤスバル
 
 
(つづく)