カネヒキリが屈腱炎で休養。いつ戻るか?わからないダート王。
前年、ジャパンカップダートを制したのは、未勝利勝ちから5連勝で一気に頂点に昇りつめたアロンダイトだった。
そして、2着がシーキングダイヤ。ダートG1、9回目の2着。
過去に例のない、凄い、が悔しい馬。
年末の東京大賞典はブルーコンコルドの3着となり、G1制覇はならずのまま2007年を迎えたシーキングザダイヤ。
フェブラリーSで、今度こそのG1制覇を誓う。
ジャパンカップダートの覇者アロンダイトは左前脚球節の手術を受け、休養中。
出走メンバーは、先着してきた馬、実績では優位に立つ馬ばかり。
もう、シーキングザダイヤから1着を奪う馬はいない、はず。
ここで勝たなくては・・・・・・もう、永久に勝てないッ。
誰よりも、強い強い思いのシーキングザダイヤだった。
地方ダートG1・4勝の7歳ブルーコンコルド。
東京大賞典ではシーキングザダイヤを破りG1勝ちしたが、中央G1では2006年、フェブラリーS4着、ジャパンカップダート9着。
シーキングザダイヤの後塵を拝している馬。
ダートマイルを得意距離とするブルーコンコルド。
7歳でも衰え知らず、シーキングザダイヤ相手に中央G1制覇へ野心満々。
ジャパンカップダートは3番人気5着だったサンライズバッカス。
2005年、マイル重賞・武蔵野Sではカネヒキリを破り重賞初制覇した馬。
その後、勝てないレースを続けて1年4カ月。カネヒキリに勝った事実を心の支えに、前を向くサンライズバッカス。
5歳を迎えたサンライズバッカス。年明け、平安S(ダート1800m)ではメイショウトウコンのアタマ差2着。
マイル得意はブルーコンコルドだけじゃない。
カネヒキリを抑え込んだ、切れ味を見せるか?
初勝利まで13戦を要したメイショウトウコン。
2勝目まで、さらに6戦かかった。初ダート1700m、後方からの差し切り勝利だった。
以後、ダートを走り2,1,1,1着。
3連勝目はダート重賞・平安S。9番人気、後方一気、サンライズバッカスと差し比べ、アタマ差、競り勝った。
芝・ダート、一変した競走生活。
まさに、生きる道を見つけたメイショウトウコン。
走ることに、喜びを見い出した。
シーキングザダイヤの母シーキングザパール。その父がシーキングザゴールド。
そのシーキングザゴールドを父にもつアイルランドから来た外国産馬が、シーキングザベストだ。
芝で16,15着のあと、ダートで17戦9勝、2着7回。
1200m・1400mを中心に超堅実ぶりを発揮。
前年、武蔵野Sはサンライズバッカスに勝って重賞初制覇。
1月、根岸S2着してフェブラリーS、G1初挑戦。
馬主は違うが、同じ栗東・森秀行厩舎、同じ6歳、シーキングザダイヤとシーキングザベスト。
繋がりは母の父として、父として、偉大なアメリカの血シーキングザゴールド。
ジャパンカップダート3着、一流馬の仲間入りを果たしたフィールドルージュ。
地方の雄、地方G1・4勝のアジュディミツオー。
根岸Sを11番人気で勝ったビッグブラス。
芝G1馬。高松宮記念を勝ったオレハマッテルゼ。
混戦、フェブラリーS。シーキングザダイヤの悲願なるか?
それとも・・・・・・。
2月18日、フェブラリーS。
1.サカラート
2.アジュディミツオー
3.タガノサイクロン
4.シーキングザダイヤ
5.カフェオリンポス
6.メイショウトウコン
7.ブルーコンコルド
8.フィールドルージュ
9.リミットレスビッド
10.シーキングザベスト
11.オレハマッテルゼ
12.サンライズバッカス
13.ダイワバンディット
14.メイショウバトラー
15.ビッググラス
16.トーセンシャナオー
1番人気シーキングザダイヤ、2番人気ブルーコンコルド、3番人気サンライズバッカス。
4番人気メイショウトウコン、5番人気シーキングザベスト。
晴れ間は見えたが、前夜からの雨で馬場は不良。
ダートの不良、馬場は引き締まってスピード争いが繰り広げられるか?
4,5頭がひと塊。激しい先行争い。
スタート一番だったシーキングザベストを、次々と追い越して行く馬たち。
ダイワバンディットが行き、トーセンシャナオーが外から2番手。
オレハマッテルゼ、メイショウバトラーが追いかけ、アジュディミツオーも先行争いに加わった。
先団5頭、睨みながら行くのが、じんわり下げたシーキングザベスト。
中団にビッググラス、カフェオリンポス。
その後ろ、内々を行くシーキングザダイヤ。
いつもよりは、かなり後方。
目を行く馬が多すぎたか?戸惑い気味。
シーキングザダイヤのすぐ後ろを行くのが、サンライズバッカスだ。
ブルーコンコルドは、さらに後方。
フィールドルージュ、メイショウトウコンが行き、
最後方につけたタガノサイクロン。
3ハロン34秒6、前半800m46秒6。芝並みのハイペース。
速いペース。
4コーナーでは外からシーキングザベスト、ビッググラスが先行馬に取り付き、
直線、
内外、5,6頭が大きく横に広がった。
抜け出したのは、シーキングザベスト。
すかさず、内からビッググラス。
15番人気カフェオリンポスも懸命に差を詰める。
馬群で伸びない1番人気シーキングザダイヤ。
なぜだッ!
思いとは裏腹に、伸びない脚がもどかしい。
外から、一気に伸びたのは、
サンライズバッカスだ!
極上の手応え。カネヒキリを倒した、あの感触が甦った。
シーキングザベストをとらえ、突き放した!
完全に抜け出したサンライズバッカス。
懸命に追うのはビッググラス!
カフェオリンポスもがんばる!
大外から、
矢のように伸びた、ブルーコンコルド。
最後のスピードに賭けた豪脚!
あっという間に2番手に上がり、前を、
サンライズバッカスを追った。
中央G1を狙う切れ味。
それは、
サンライズバッカスの自信を打ち破ることはできなかった。
あの武蔵野S、
カネヒキリに勝った。
その力、
その脚、いま甦った。
誰にも、負けないッ!
サンライズバッカスは、1分34秒8。
スピード決戦を先頭で駆け抜けた!
新マイル・ダート王誕生。
1着サンライズバッカス
1馬身半
2着ブルーコンコルド
2馬身半
3着ビッググラス
2分の1馬身
4着カフェオリンポス
4分の3馬身
5着フィールドルージュ
シーキングザダイヤは9着と敗れ、悲願ならず。
この後、帝王賞(G1)5着、JBCクラシック(G1)6着、浦和記念(G2)1着、ラストランとなった東京大賞典(G1)6着。
G1未勝利、2着9回。前代未聞の悔しい記録を残し、引退となった。
(つづく)