秋華賞、『牝馬3冠』を狙うスティルインラブがつねに気がかりだった馬、アドマイヤグルーヴ。
同じサンデーサイレンス産駒、『女帝』エアグルーヴの仔。
超良血が新馬戦から3連勝した。
『牝馬3冠』の期待は、アドマイヤグルーヴにあった。
桜花賞1番人気アドマイヤグルーヴ。出遅れた。直線豪脚を見せるも3着。
出遅れさえなければ・・・・・・。
オークスも1番人気だったアドマイヤグルーヴ。激しい入れ込み、スタートダッシュつかず、またも後方からの競馬。追い上げならず7着。またも2番人気で勝ったスティルインラブ。
秋華賞トライアル・ローズS。中団から見事な差し切り勝ち。スティルインラブは5着に沈んだ。
最後の1冠、秋華賞。やはり、勝つのは『血』の力か?
人気は『3冠』を狙うスティルインラブではなくて、『超良血』アドマイヤグルーヴだった。
サンデーサイレンス牝馬産駒、世代で最も早く話題をさらったピースオブワールド。
新馬戦1着、かえで賞(500万下)1着、ファンタジーS(G3)1着、阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)1着。
4戦4勝で2歳女王となった。
3歳春、無念の骨折。ぶっつけで出走したオークスは13着。
秋華賞トライアル・ローズSはアドマイヤグルーヴの4着。
従兄妹に『マイル最強馬』といえるタイキシャトルをもつピースオブワールド。適距離はマイルだったのか?
幻と消えた桜花賞を悔やんでも仕方がない。現実の秋華賞に全力あるのみ。
トライアル・紫苑S(オープン)を一気の差し切り勝ち。上がり馬レンドフェリーチェ。
トライアル・ローズS3着。メジロライアン産駒ベストアルバム。
阪神ジュベナイルフィリーズ2着、桜花賞4着、オークス4着、ヤマカツリリー。母はエリザベス女王杯の覇者リンデンリリーだ。
クイーンSで古馬ファインモーションに勝ち大金星を上げたオースミハルカ。
オークス13番人気2着、チューニー。侮ることなかれ、サンデーサイレンスの血。
打倒!スティルインラブ、打倒!アドマイヤグルーヴに燃える牝馬たち。
10月19日、秋華賞。
1.トーセンリリー
2.ピースオブワールド
3.オースミハルカ
4.メイショウバトラー
5.マイネサマンサ
6.レマーズガール
7.ヤマニンスフィアー
8.レンドフェリーチェ
9.チューニー
10.アドマイヤグルーヴ
11.メモリーキアヌ
12.ミルフィオリ
13.スターリーヘヴン
14.ヤマカツリリー
15.タンザナイト
16.ベストアルバム
17.スティルインラブ
18.タイムウィルテル
1番人気アドマイヤグルーヴ、2番人気スティルインラブ、3番人気ピースオブワールド。
4番人気レンドフェリーチェ、5番人気ベストアルバム。
アドマイヤグルーヴ単勝2.5倍、スティルインラブ3.2倍。3冠すべて人気はアドマイヤグルーヴが上回った。
逃げたのはマイネサマンサだ。
古くは『皇帝』シンボリルドルフの3冠、菊花賞2着したゴールドウェイを伯父にもつが・・・・・・忘れ去られた血統。
逃げに賭けた!マイネサマンサ。
チューニーがつけた、2番手。
続くトーセンリリー、ヤマカツリリー。
すぐ後につけたピースオブワールド、レンドフェリーチェだ。
中団につけたオースミハルカ、タイムウィルテル。
スティルインラブは10番手でじっくり前を見た。
鞍上・幸英明。襲いかかるプレッシャーは、ゲートが開くとともに消えた。
その後ろで、機会をうかがうのはアドマイヤグルーヴだ。
気負うこともなくゲートに入り、出遅れることもなく流れに乗った。
『確信』をつかんだ鞍上・武豊。
後方にベストアルバム、メモリーキアヌ。
最後方から行ったタンザナイト、長い隊列が続いた。
3ハロン35秒4、1000m通過59秒8。平均ペース。
かかりぎみに上がるレンドフェリーチェ。
流れを動かそうと3番手まで上がった。
軽やかにハナを切るマイネサマンサ。動じない。
鞍上・大西直宏、24年目のベテランの味か?
先頭をキープして4コーナーを迎えた。
必死で2番手を守るのはチューニー。
ヤマカツリリー・安藤勝己が迫り、内から進出はピースオブワールド・福永祐一だ。
外から先団めがけたスティルインラブ。
すぐ後ろ、アドマイヤグルーヴ。
敵は・・・・・・ただ1頭、スティルインラブ。
直線に入るや、差を広げたマイネサマンサ。
2馬身、3馬身、4馬身。
17頭を引き離した。
ジリジリと迫るヤマカツリリー、ピースオブワールド。
外から姿を見せた、
スティルインラブだ!
さらに外、
アドマイヤグルーヴだッ!
ゴールまであとわずか。
もう少しだ!がんばれ、がんばれッ! 押しまくる大西直宏。
止まりかけた脚で、必死に先頭を守るマイネサマンサ。
だが、
一気に差が詰まった。
最後の脚、思いのたけをぶち込んで迫る。
ヤマカツリリーだ!
ピースオブワールドだッ!
勝利の執念。
炸裂する脚は、
圧倒した。
『3冠』、それしかないッ。スティルインラブだ!
負けられないッ。伸びたアドマイヤグルーヴ!
ゴール寸前のマイネサマンサをめぐって、猛然と襲いかかった4頭。
突き抜けたのは、
史上2頭目の快挙、
スティルインラブだった。
桜花賞・オークス・秋華賞、『牝馬3冠』。
栄光のゴールは、光射す、最高の輝きでスティルインラブを包み込んだ。
1着ステルインラブ
4分の3馬身
2着アドマイヤグルーヴ
クビ
3着ヤマカツリリー
クビ
4着トップオブワールド
ハナ
5着マイネサマンサ
(つづく)