ダイシンフブキが4連勝で東の3歳チャンプとなった。
西は?
正直、多大な期待を集めうる馬はいなかった。
ミスターシービー、シンボリルドルフ、ミホシンザン、クラシックは関東馬に席巻されていた時代。
以前から日本の競馬界は『東高西低』、その状況が極めて明らかになっていた時代だ。
いまのような『西高東低』がウソのよう。
そんな中で期待されたのがカツラギハイデン。
『カツラギ』といえば、日本初のジャパンカップ優勝馬となった関西馬カツラギエース。
同じ冠、馬主、調教師、騎手、厩務員ということで、『カツラギ』その名に関西の人々は淡い期待をもった。
母サチノイマイは菊花賞馬アカネテンリュウの全妹。輝くべき素地は十分にあった。
新馬戦を勝ち、続くもみじ賞で6着と敗れ、かえで賞を勝ち3戦2勝。圧倒的な強さは見せなかったが、期待の半分は『カツラギ』の名にあったかもしれない。
それと、牡馬だということ。
10頭立てとなったメンバー。3頭が牝馬だった。小倉3歳Sを制したキョウワシンザン、デイリー杯3歳Sで牝馬のワンツーを演じたヤマニンファルコン、ノトパーソ。
牝馬のレベルが高いんじゃないか? といわれ、西のチャンプを決定する大一番に3頭の牝馬が挑戦してきた。
牝馬に負けているようでは、クラシックなんぞ・・・頭の固い競馬ファンは、牡馬カツラギハイデンの応援に走ったのかも?
12月15日、阪神3歳S
1.カツラギハイデン
2.ヤマニンファルコン
3.キョウワシンザン
4.エイシンガッツ
5.ダイナオリンピア
6.ラガーシェブロン
7.ハギノビショウフ
8.シマノスターリー
9.ノトパーソ
10.ファイブホマレ
1番人気カツラギハイデン、2番人気ヤマニンファルコン、3番人気ノトパーソ。
4番人気ハギノビショウフ、5番人気ファイブホマレ。
3頭から4頭の先行争い、制したのはハギノビショウフだった。
シマノスターリーが追いかけ、3番手にエイシンガッツ。
カツラギハイデンは内々5番手を進んだ。
後方、7番手、8番手をノトパーソ、ヤマニンファルコン。
その後ろにキョウワシンザン。
牝馬勢が後ろに付けた。
何としても『勝ち』に出るッ!
カツラギハイデンを除いた牡馬たちの意気ごみか?
ハギノビショウフ、追いかけるシマノスターリー、前半4ハロン・46秒8、ハイペースの流れとなった。
スタートダッシュはよかったが、徐々に順位を下げ先行争いに加わらなかったカツラギハイデン。
鞍上・西浦勝一は咄嗟にペースを読んだ。
外から上がって行ったハギノビショウフ・伊藤清晃。
ハギノトップレディ、ハギノカムイオー、強気の先行で知られる伊藤。ヤツが逃げるならハイペース。
西浦はカツラギハイデンを下げ、ひたすら勝負の瞬間をうかがった。
ハギノビショウフが作り出すハイペースの流れは、まさに淡々と見えた。
馬列は変わらない。
だが、4コーナー手前でついて行った馬たちが悲鳴を上げ始めた。
ようやく、後ろにいたノトパーソが外を突いて進出し始めた。
その時だ。
内で詰まりかけた馬群を、鮮やかに縫ってカツラギハイデンがやってきた。
そして、直線、スルリと抜け出した。
そのスピードは、他を圧倒していた。
まさに神業のように抜け出したカツラギハイデン。
外を追い込むノトパーソ、必死に粘るハギノビショウフ。
内から馬群を割るヤマニンファルコン。
すべては2着争いにすぎなかった。
『カツラギ』、関西の期待を担って、その名を再び全国区に・・・。
1着カツラギハイデン
2着ノトパーソ
3着ハギノビショウフ
4着ヤマニンファルコン
5着ファイブホマレ
(つづく)