新馬戦から4戦全勝で皐月賞を制したミホシンザン。

競馬界の至宝『5冠馬』シンザンの最高傑作といわれる逸材は、3年連続『3冠馬』の誕生を予感させる強さを見せた皐月賞。

まったく追随を許さない、スクラムダイナに5馬身差圧勝。


左前脚骨折。3冠の野望は消えた。


ダービーを勝ったのはシリウスシンボリ。スダホーク、スクラムダイナ・・・ミホシンザンに敗れた面々をねじ伏せた。



3冠は消えても菊の冠は獲らねばならない。骨折から戻ってきたミホシンザン。

骨折明けセントライト記念は初めての敗北、タイガーボーイの5着。トライアル・京都新聞杯を勝利。

強さは戻った。



皐月賞6着、ダービー2着、スダホーク。

モンテプリンス、モンテファストの天皇賞馬兄弟を出した父シーホーク。スダホークもまた距離延びての菊花賞こそ『打倒ミホシンザン』を期待された。



かつての『関西3強』ロングエース・タイテエム・ランドプリンス。ダービー馬ロングエースの仔スピードヒーロー。

4戦3勝でNHK杯に臨み10着。ダービー挑戦は諦め、秋に賭けた。

神戸新聞杯快勝、京都新聞杯2着。父の名においても、勝ちたい。



皐月賞3着、ダービー7着、サクラサニーオー。

朝日杯3歳S1番人気3着。同世代の『サクラ』軍団を引っ張ってきた。

セントライト記念、5番人気3着。善戦するも、やや陰りが見えてきた『サクラ』のオー。



父は大種牡馬テスコボーイ。半兄はジャパンカップで『日の丸特攻隊』といわれた快速逃げ馬サクラシンゲキ。曾祖母はオークス、有馬記念を制した名牝スターロッチ。

良血サクラユタカオー。

デビュー戦レコード勝ち。2戦目は2着馬を7馬身ぶっちぎった。

共同通信杯4歳Sを勝ち3連勝。


そのスピードはサクラサニーオーをも凌ぐといわれた逸材は、故障に泣いた。

右前脚骨折で春のクラシック戦線離脱。京都新聞杯で復帰も、ミホシンザンの4着。


菊花賞3000m。距離に不安を抱きながらも、有り余るスピードに期待された。





11月10日、菊花賞。

1.メジロウルフ
2.エイシントウショウ
3.ロンスパーク
4.ハクアイグローリー
5.スピードヒーロー
6.イブキマスター
7.マチカネイシン
8.ハギノスワロー
9.グリーンカップ
10.ワイエムゴシマ
11.スダホーク
12.ミホシンザン
13.ハイランカー
14.アサカサイレント
15.サクラサニーオー
16.フリートホープ
17.サクラユタカオー
18.トレードマーク



1番人気ミホシンザン、2番人気スダホーク、3番人気スピードヒーロー。

4番人気グリーンカップ、5番人気サクラサニーオー。




アサカサイレント、ハイランカーにハギノスワローが加わった先行争い。

3頭で、どんどん差を開いて行った。


ワイエムゴシマ、サクラユタカオーがその後を行った。


9番手、中団を行くミホシンザンをマークするのは、前にトレードマーク、スピードヒーロー。

ミホシンザンの内に入ったサクラサニーオー。



後方6頭目スダホーク。並んで行くのは長距離の申し子グリーングラスを父に持つグリーンカップ。



激しく競り合いながら前を行く3頭。後続を10馬身突き放した。

3コーナー手前から、一気に行ったサクラユタカオー、スピードヒーロー。

『ゆっくり』上らなければならない京都名物の坂、サクラユタカオーはスピードに購えない。


4コーナーでは先頭に立った。


外からやってきたミホシンザン。



直線、最後の切れ味勝負。そう見えた。


内外、ズラリと並んだ直線。



一番内からサクラユタカオー、伸びたッ!



馬場の真ん中、突き抜けてきたのは・・・やはり、ミホシンザン。




大外から飛んできた2頭。


サクラサニーオー、スダホークだ。



勝ちを意識したミホシンザン。

鞍上・柴田政人が冷静に、万全の態勢で追いだした。



余裕をもって、ミホシンザンは飛び出した。



内で粘るサクラユタカオー。



その時、大外を走るサクラサニーオー、スダホークが猛然とミホシンザンに近づいた。


あと、3歩、2歩、1歩。



来るなら来いッ!


だが、負けない。




ミホシンザンは、2頭に1馬身4分の1の差をつけてゴールへ飛び込んだ。



1着ミホシンザン

2着スダホーク

3着サクラサニーオー

4着サクラユタカオー

5着トレードマーク



(つづく)