有馬記念の前に、キョウエイプロミスがジャパンカップの激走の果て、競走生命を失って引退。


有馬記念3着を最後にアンバーシャダイが引退。

メジロティターンも有馬記念6着を最後に引退を表明。


勝ってはいけない馬・・・自分自身に重い重い十字架をかせたのか、ハギノカムイオー。

有馬記念も最下位16着に沈んだ。もう、これ以上は・・・厩舎は引退を決めた。

14戦8勝。宝塚記念5馬身差圧勝など強かった8勝、皐月賞16着、菊花賞15着、ジャパンカップ16着、有馬記念16着、無残なまでの大レースでの惨敗。

『華麗なる一族』お坊ちゃま気性のハギノカムイオー。いや、そうじゃない!

決して、決して、そうじゃない。

8戦6勝、クラシックを走れなかったサルノキングの無念。ハギノカムイオーは一身に背負ってしまった。


見事に有馬記念を制したリードホーユー。ミスターシービー世代に強者(つわもの)あり、世間に示した。

『勝つこと』を知った奔放な逸材は、その真の実力を発揮したその時、競走馬の生涯を終えた。

レース後、競走能力を喪失する故障が判明、引退へと追い込まれたのだ。



寂しさの拭いきれなかった有馬記念だった。





日本の競馬界の歴史が変わる1984年。

その84年のクラシックをめざす馬は?



朝日杯3歳Sを勝ったハーディービジョン、2着ハツノアモイ。函館3歳Sを勝ったサクラトウコウ。関西では5戦4勝で阪神3歳Sを勝ったロングハヤブサ。

注目されるされる馬たち。



真に注目されていたのは3戦全勝の関東の2騎だった。



ビゼンニシキ、新馬戦・さざんか賞・ひいらぎ賞勝ち。すべて圧勝というよりも楽勝。

鞍上・岡部幸雄。乗っているだけで勝てた馬。



シンボリルドルフ、新馬戦・いちょう特別・オープン戦勝ち。

新馬戦『1000mで1600mの競馬を覚えさせた』岡部幸雄騎手談。

いちょう特別『1600mのレースで2400mの競馬をした』野平祐二調教師談。

英才教育はつねに一歩前一歩前を見据えて行われた。


目の前の実績を越えたなかで、クラシックへ向けてじっくりと進む2頭。

そのベールを脱ぐ1984年。

そこには2頭だけがわかる死闘が待っているはず。


騎手は両馬とも岡部幸雄。


騎手・岡部幸雄の選択やいかに?