桜花賞は『天才少女』ブロケードにしてやられたテンモン。
オークスを見事に制して、牝馬で朝日杯勝ちの実力を証明した。
9戦5勝、2着1回、3着2回、4着1回。大人しすぎるが、素直でいつも真面目に走る。
そんな彼女の戦績が、オークスで止まった。
オークスから3週間後、屈腱炎の兆候が見られたため千葉県・九十九里浜の牧場で療養に入った。
8月23日、台風の直撃を受け、テンモンは大ケガを負った。背中から後躯にかけて麻痺が残り、引退を余儀なくされた。
オークスを13着と惨敗したブロケード。
夏は函館、巴賞で前年の桜花賞・エリザベス女王杯優勝馬ハギノトップレディと桜花賞馬対決。抜きつ抜かれつのハナ争いでアタマ差2着惜敗。
函館記念、ホーワセキトの2着。牝馬東京タイムズ杯を勝って、エリザベス女王杯に臨んできた。
桜花賞4着、オークス3番人気16着タケノダイヤもリベンジ派だった。
京都牝馬特別4着を叩いて、本番へ意欲を見せた。
桜花賞9着、オークス8着、アグネステスコは京都牝馬特別2着。
オークス6着、サクラスマイルは京都牝馬特別3着。
力を蓄え、充実の秋を迎えた。
『天馬』トウショウボーイを叔父に持つエイティトウショウ。オークス4着、ラジオたんぱ賞(現在のラジオNIKKEI賞)を勝ち、牝馬東京タイムズ杯4着。
輝き始めた良血。
オークス2着馬ニシノチェニル、3着馬ダイナビクトリア。
テンモンがいなければ・・・チャンスはどの馬にもあった。
新馬勝ちのあと、紅梅賞3着。うぐいす賞から京都4歳特別も含め5連勝のオオシマスズラン。
オークスは故障で出走叶わず、隠れた関西の大物牝馬。
ついにベールを脱ぐ時が来た。
11月15日、エリザベス女王杯。
1.オオシマスズラン
2.ニシニチェニル
3.エイティトウショウ
4.ダイナビクトリア
5.シュンシゲ
6.サクラスマイル
7.タケノダイヤ
8.ナンシンチェリー
9.ドンテスコシチー
10.レデイバンブー
11.トウカイマーチ
12.ブロケード
13.アグネステスコ
14.ネーハイフォルティ
15.シャッフィー
16.エースキャリー
1番人気オオシマスズラン、2番人気ブロケード、3番人気タケノダイヤ。
4番人気アグネステスコ、5番人気サクラスマイル。
ドンテスコシチーが逃げた。
トウカイマーチが2番手、ブロケードは逃げられず3番手。
最内からオオシマスズラン、エイティトウショウ、アグネステスコ、好位につけた。
後方から差し一辺倒、アグネステスコが前に。
ダイナビクトリア、サクラスマイルは後方につけた。
向こう正面でネーハイフォルティがグーンと中団まで上がって行ったのが目立つ程度で、各馬がポジションを守りきるかのように、動かないペース。
3コーナーから4コーナー、流れが動いた。
タケノダイヤ、エイティトウショウが上がりを見せた。
直線、内外に大きく広がった先頭集団。
何が抜け出すか!
タケノダイヤだった。
カツトップエースを2冠に導いたいぶし銀、大崎昭一。
秋から、タケノダイヤの手綱を取った。
内にいたオオシマスズランは伸びないッ!
初の大レース。戸惑いの走りだったのか?
大外、タケノダイヤに襲いかかったのは、ひと呼吸入れたアグネステスコだった。
鞍上は騎手12年目、関西の中堅・西浦勝一。
一気に並びかけ、勝負を決めにかかった。
クビ差前に出た。
だが、いぶし銀・大崎も黙ってはいない。
内から懸命に抵抗した。
一歩も引き下がらない。
2頭の叩き合い。
クビ差のまま。
永遠の叩き合い。
ゴールまで続いた。
3着に突っ込んだサクラスマイルを、3馬身半突き放した。
1着アグネステスコ
2着タケノダイヤ
3着サクラスマイル
4着エイティトウショウ
5着ニシノチェニル
(つづく)