オルフェーヴルの凱旋門賞挑戦が本格的に決まった。
前哨戦に9月フォワ賞を使い、本番の凱旋門賞へ。
鞍上は乗り続けていた池添謙一騎手に替わり、フランスの名手クリストフ・スミヨン騎手が決定した。
ダラカニ、ザルコヴァで凱旋門賞を2勝。ロンシャン競馬場を熟知したスミヨン。
日本馬にとって悲願ともいえる凱旋門賞制覇。
社台の本気度が、池江師の推す池添を断念させた。
かつてオルフェーヴルに乗らない福永祐一が言った。
「オルフェーヴルは怪物です。日本の馬では歯が立たない」
3月、阪神大賞典でとんでもない逸走。3コーナーでコーナーを曲がれずラチまで飛んで行き、池添が必死で手綱を抑え、失速。外ラチ最後方まで下がり、圏外か? と思われた。
そこから、走る他馬を見て、オルフェーヴルは再び走り出した。
一気に馬群をとらえ、ゴール前では勝ったギュスターヴクライに半馬身まで迫った2着。
図らずも、とんでもない怪物ぶりを見せつけた。
騎手として屈辱は池添だった。
クセ馬は熟知していたが、大失態。
二度と起こせない。その思いが天皇賞春11着惨敗を呼び込んでしまった。
そして、宝塚記念でリベンジ。凱旋門賞挑戦を決めた。
池添を乗せるべき、いや、勝つためにスミヨンを…、賛否両論が飛び交う。
武豊はインタビューでつねに答えていた。
「この馬を勝たせてあげたい」「勝つためにエスコートしたい」
競馬で主役は、あくまで馬。勝たせるために最良を尽くすのが関わるものの役目。
馬があっての鞍上の名誉。
ロンシャン、どんなとこか知らねぇけど。
凱旋門賞、どんなやつと走るか、わかんねぇけど。
走ってやるさ、思いくそッ!
誰が乗ろうと、オレはオレの走りを見せるだけ。
誰かが、言ったっけ、怪物?
怪物上等。
オレはオルフェーヴルだっ!
見てろよ。