中央競馬会、関東メインは東京競馬場、中山競馬場、関西メインは阪神競馬場、京都競馬場。
関西ローカルとして、福岡県北九州市にあるのが小倉競馬場。
小倉大賞典、小倉記念、北九州記念、小倉2歳S、小倉サマージャンプの重賞レースがあり、ローカルの華として熱戦が繰り広げられる。
小回り平坦コースとして知られ、そのコース適性を生かした小倉巧者と呼ばれる馬も多い。
豪快な差し、追込みが中心、500㌔を悠に越える馬体、決して小回り小倉が合うとは思えないが、なぜか小倉だと走る。
小倉といえば、この馬。
暑い夏の季節になると、多くのファンの胸に甦るのがメイショウカイドウ。
父スキャン、母キンセングローリー。母の父ヒッタイトグローリー。
父スキャンはミスタープロスペクターの直仔、アメリカで走り引退後、日本で種牡馬となった。産駒はある程度の活躍を見せるが、重賞級は少なかった。テイエムメガトン、マチカネワラウカド、タマモストロング、ダート重賞での活躍が目立った。
母キンセングローリーは中央4勝。準オープンで活躍。芝・ダートともに走ったが勝利はすべてダートだった。
ダートで、そこそこの活躍。それがメイショウカイドウへの期待値だったのかもしれない。
2002年、1月。3歳、京都で新馬デビュー。ダート1800m。
1番人気も3着だった。
4,2,5,3,6着、ダート6戦して勝てなかった。
芝に転じて、2,5,4着。
7月、小倉競馬場、芝1800m。新馬から数えて10戦目。
スタートから逃げて、メンバー最速の上がりで勝利した。
2着馬を9馬身、ちぎっていた。
突然の覚醒か? と思われたが、3,8,7,6着、勝てず。
2勝目は2003年、2月、地方競馬・笠松へ遠征したダート戦だった。
3月、阪神で11着のあと休養、小倉で夏競馬を迎えた。
日田特別(500万下)芝1800m、1着。
玄海特別(1000万下)芝1800m、1着。
博多S(1600万下)芝1800m、1着。
勢いをつけて中央に戻ったメイショウカイドウ。
3,3,2,2,2,4着。勝てないカイドウ。
2004年、6月。すでに5歳。
東京・湘南S(1600万下)芝1600m、1着。やっと勝った、中央で初勝利。
26戦してようやくオープン入り。
小倉の夏が待っていた。
7月、北九州記念(G3)芝1800m。ダイタクバートラムの2着。
8月、小倉記念(G3)芝2000m。逃げたメイショウバトラーを差し切り、初重賞制覇。
中央へ戻り、7着、8着。
2005年。6歳。
2月、小倉大賞典(G3)芝1800m。
4コーナー11番手から、短い直線を一気に、10頭を差し切った。
中山記念7着、マイラーズC7着。やはり中央では、勝てない。
休養に入り、目標を夏の小倉に置かれた。
小倉大賞典、北九州記念、小倉記念、狙うは『小倉3冠』。
アトラス(3年越し)、ロッコーイチ(2年越し)、ミヤジマレンゴ(3年越し)、過去に達成した3頭。同年に3冠はまだない。
7月、北九州記念。
ラジオたんぱ賞・セントライト記念覇者ヴィータローザ。
京阪杯、京都金杯を制した切れ者、サイドワインダー。
中央重賞勝ち馬を相手に、2着ツルマルヨカニセに2馬身の差をつけて圧勝。
8月、小倉記念。
福島記念勝ちセフティーエンペラ、愛知杯制覇カゼニフカレテ、アルゼンチン共和国杯覇者トウカイオーザ。
北九州記念2着馬ツルマルヨカニセ、準オープンを2連勝で臨むワンモアチャッター。
メイショウカイドウの行く手を阻もうとする面々。
それでもめざすのは、『小倉3冠』。
小倉の地で初勝利。小倉の地で3連勝、覚醒。小倉の地で初重賞。
もはや小倉の申し子となったメイショウカイドウ。
小倉のファンも温かく見守った。
直線、中団からいち早く抜け出したツルマルヨカニセ、セフティーエンペラに、後方から追い込んできたメイショウカイドウ、ワンモアチャッター並びかけた時、場内は大興奮に達した。
4分の3馬身、抜け出たメイショウカイドウに惜しみない拍手、歓声。
小倉の王者・メイショウカイドウ。
誰一人、疑う者はいなかった。
秋、毎日王冠14着、天皇賞秋18着。
やはり、小倉のメイショウカイドウだった。
2006年、7歳。
小倉大賞典3着、地方ダート・佐賀記念5着。
衰えが見え始めたメイショウカイドウ。
福島・七夕賞(G3)1着。重賞5勝目。
小倉記念、6着。
1年間の休養。
2007年。8歳。
小倉記念、11着。
朝日チャレンジカップ、10着。
現役引退となった。
2008年。
小倉競馬場で誘導馬となったメイショウカイドウ。
1月19日はパドックでお披露目式も行われた。
2006年より、北九州記念が距離1200mに変更され、
『小倉3冠』を制する馬は限りなく、『無』となった。
過去にも、未来にも、同一年『小倉3冠』を制した馬は、いま、
大好きな小倉競馬場で、
大好きな小倉の競馬ファンに見守られ、
誘導馬として、
行進を続ける。
見上げる青い空に、
何を思う?