「おーい、起きろ!大変だ。屋上で倒れてたやつが起き出して、なんか騒いでる」

ドンドン叩くのはナミだ。サチもいる。

眠気まなこでキョウタが開けに行った。

「遅っせぇな、てめえ」

「な、なんだよ、それ」

いつものナミだ。コウヘイは安心した。

「みんな、寝てる場合じゃねぇよ。眠れなくてさ、散歩に行こう思ったら、やつらの部屋から聴こえてきたんだ。女に噛まれた、とか、悪魔だとか、ワケわかんねぇこと、言ってやがる」

「騒ぎが大きくなる前に出発じゃな。もともと鵺との対決の前に一般のツアー客をどうしようか、考えておったとこじゃ。彼らにゃ、危険過ぎる。ヨシッ! ナミとやら、速やかに荷造りして、才女も連れて、地下のバスの所に集合じゃ。我々も行く。おい、部長、トキタだったか、バスの運転はできるか?」

「えっ?、バス? いやぁー、どうかな。やったことないから」

「だったら、やってみろ」

「あ、ハイ」

ゲンジイの強引テキパキ指示で、みんな速やかに行動した。



鵺との対決、みんなの最重要項目。

いらぬ騒ぎに神経を使いたくなかったし、屋上で倒れていた男の騒ぎの元に、才女タチバナがいることを感じていた探検隊メンバー。サチ、ナミのことでショックだったのに、これ以上、重いものは遠慮したかったのが、本音。


キョウタ、コウヘイがコナンを連れて地下駐車場。バスに着いた時、サチ、ナミ、才女タチバナは来ていた。才女の顔色が青い。騒ぎの責任を感じているのだろう。いつもの凛とした才女ではなかった。

あたふたと駆けこんで来たゲンジイ、トキタ、後ろの様子をうかがいながら、シンジが来る。トキタは運転手の制服を抱え。バスのキーはゲンジイが持っていた。そのころ、運転手の泊まる部屋では下着姿の男がサルグツワをかまされ、寝っ転がっていた。

「さ、早く、乗れ乗れ! トキタ、出発じゃあー!」


着替え途中も運転席に座ったトキタ。うながされるままに、エンジンをふかした。

右に左にハンドルを切るたびに大きく揺れるバス車内。ワーッ、キャーッ、大騒ぎの中、バスはホテルの地下を飛び出した。

さすがに車好きのトキタ。そのうちバスの大きさにも感覚がなれ、涼しい顔の運転。


コウヘイの予知通りなら、この行く先には鵺の大群到来。

程度のほどは分からないが、洗脳されているサチを奪いにくる鵺。


守り切れるか! 摩訶不思議探検隊、プラス、ゲンジイand コナン。

(つづく)