ざざざざざざざざざっざざざわっ

ざざざざざざざっざざざざざっざざざあわわわっ

ざざざざざざざあざっざあざざああざざざっざざざざざっぷーん

梅雨時のわずかな晴れ間、オレ達7人は海を見ていた。

広がる光る海。

やけに青い空。



じっとしていても、やがて空は茜色。

オレ達の頬もあかく染めていた。




次の日、オレ達は行動に出た。

『来たる日曜日、一日限りの青春遊んじゃおぅ! 参加募集』

あさ一番、予備校の掲示板にゲリラ掲示。職員にはがされるのを覚悟で、3枚用意。案の定、30分後にはがされた。

めげない。30分後にまた貼ってやった。

今度はすぐ気付かれ、10分間の命。

いいじゃないか一日ぐらい、浪人生だって遊んでも。面と向かって抗議、しないで1時間後に最後の一枚を貼る。姑息? 姑息。いやいや、アンダーグラウンドなレジスタンス気取り。

海見ながら考え語り立てたオレ達作戦秘密結社初活動。勉強べんきょもいいがタマタマたまには遊び心で息吸おうゼィ!オレタチキミタチ青春万歳勉強万歳バンザイバンザイ遊びタイムでモットモット生きてるバンザーイ!さ。

かなりの人数に告知できたゼ、目的は達成!


でもでも、

当日、集まる人数はいるのか? 

考えるのはよそう。結果を考えてちゃ、なにもできねぇ。

というより、

虚しさが先にきて、何もできなくなる。

きっと来るさ。来てくれるよ。来たらいいな。

いいじゃないか、オレ達だけでも。



ほら、虚しくなる。





でも、オレ、気持ちはいっぱい前向きダゼ。

ハイテンションさせてくれる、君がいるから。


朝、8時17分、阪神出屋敷駅。あれから君は乗ってきてくれる。大学の時間割の合う限り、いまでは週4日。ホームに滑り込む電車に君を探すまでもなく、2両目真ん中ドアの前、君は立って、ドアが開く前からオレに笑顔をくれる。


ドアが開く。


「おはよう」笑顔。

「おはよう」ちょい、照れ笑顔。


手すり背に君、ドアを左肘にオレ。30㎝空間挟んで、ここがオレたち、いや、オレのしあわせ・すぽっと。



時よ、止まれ!

止まるワケない10数分。


それでも、オレは元気100倍、勇気1000倍。


天下無敵の浪人生になれるゼィ!



単純。

音譜
波を チャプチャプチャプチャプ かき分けて

雲を スイスイスイスイ 追い抜いて

ひょうたん島は どこへ行く ぼくらを乗せて どこへ行く

まるい地球の 水平線に 何かがきっと 待っている

悲しいことも あるだろさ

苦しいことも あるだろさ

だけどぼくらは くじけない

泣くのはイヤだ 笑っちゃおぅ

すすめぇー ひょっこり ひょうたん島 

ひょっこり ひょうたん じ~ま~音譜