私はゲームをしながら次の仕事を探していた。AOEみたいな内政をやりながら軍事を整え兵隊を相手に突っ込ませる感じだった。
それを多分何処かの施設仲間とやりながら、何か良さそうな仕事はないかと思っていたら、
カレー屋のバイトがあって、それに応募してみることにした。
面接の会場の何か大きなホテルに通され、一通り歩いて見物したあと、何人かで集団で面接を受けて、何故か即決された。
待遇はその時話を聞いたがカレー屋の厨房と客の間を行き来する、来客応対だった。
それ本当に大丈夫なんですか、と聞いたら取りあえずやってみなさい、と社長(女性)に一言で寸断された。
適性検査とかは一切無しで面接も一瞬で即断(なお同じところにいた他の参加者も即断で採用された)
あまりにトントンで話が進むのでなんか怪しくない、となったが、
月の途中から入ったので大体月の半分程度働いて、普通に給料を支払われるし、
様々な保証、健保は相変わらず国保だが、何故か余計なものが差し引かれない、
何より店に客があまり来ないので時々暇つぶしが出来る程度の時間の余裕があって、これでこの給料ならちょっと貰いすぎではないかとすら思った。
本当にほとんど客が来ないのである。
来ればシンプルなカレー屋なのでカレーしかなく、出すのも特に凝ったことはせずにごはんにカレーを盛り付けてそのまま出せば良い。
あとは職場のチーフと同じ時に採用されたもう一人で簡単にこなせてしまう。
次の月は一月分のシフトを完全にこなして、明細を見たらきっちり働いた分の額が振り込まれていて、
何故か仕事場の同僚と社長に直談判に行った、こんなに貰っていいのですかと。
すると社長は「遠慮なく貰っておきなさい」という。しかも「何か要望があればどうぞ」という。
客がいなくて仕事らしい仕事もそんなにしてない日もあるのにこれでいいのですかとついつい聞いてしまったが、
「遠慮なく貰っておきなさい」の一点張りで「これでちゃんと生活出来てますか」と追加で聞かれたので、
これだけあればちゃんと生活できます、ありがとうございますと言いながら帰って行った。
それでも店にはほとんど客は来ない。本当にいいのか、なんか不審な噂でも流れていないかと調べ物をしたが、
極度にスピリチュアルな言動をホームページでも人前でも繰り返す。
しかしそれはプライベートで仕事では何も出さない、ということであった。
作っているカレーも不審なものは入ってないし、何ならごく普通のスパイスカレーである。
将来が不安だけれど今の店を畳むつもりもない、と言われてしまったのでもう言うことがなくなったので車で家に帰った。
玄関の戸を開けてもう一回明細を広げ、やっぱり楽に貰いすぎではないかと思ったが、額自体に問題はないし搾取されていることもないか、と、
自室のワンルームの中で思った。なお同僚は自宅の近くにあるグループホームに帰って行った。
まあ障害者でちゃんと生活できます、と言えるならいいか、と思ったものである。